
イタリア南部の自然豊かな州、バジリカータ州
バジリカータ州は、イタリアを長靴に例えると「土踏まず」の部分に位置しています。州都はポテンツァで、人口は約55万人、イタリア国内で3番目に少ない州です。海に面した部分もありますが、山と丘陵が州全体の半分を占めています。
都市マテーラには世界遺産の洞窟住居があり、古代からの独自の民俗文化を発展させてきました。農業は重要な産業であり、手つかずの自然の中で暮らす人々は、自らの土地と伝統を誇りとしています。
■バジリカータ州の主要なブドウ品種
バジリカータでは生産量の約80%が赤ワインです。
その中でも最も重要なブドウが黒ブドウのアリアニコです。アリアニコを使用したヴルトゥレ山(休火山)周辺で造られる「アリアニコ・デル・ヴルトゥレ」は、「南イタリアのバローロ」と呼ばれるほど、長期熟成が可能な偉大な赤ワインです。
今回はバジリカータ州で三代にわたりワイン造りを続けているワイナリー、「Masseria Lanzolla(マッセリア・ランゾーラ)」をご紹介します。
Masseria Lanzollaについて
Masseria Lanzollaは、約70年前にジュゼッペ・ランツォッラ氏によって設立された家族経営のワイナリーです。現在は、創設者の娘でオーナーのAnna と、その娘であるIsabella 、Enricaの三名の女性たちによって運営されています。Isabella はゼネラルマネージャーとして、ブドウ畑およびワイナリー全体の管理を担当しています。
一方、Enrica はイベントの企画やワインの販売をIsabella とともに行い、さらに醸造家と相談しながら、ワインを瓶詰めする最適なタイミングを見極めています。
ワイナリーの広大な敷地には、ブドウ畑14ha、柑橘類の果樹園7ha、オリーブ畑7haが広がり、豊かな自然に囲まれています。
敷地内にある人工の湖は、元々ブドウ畑の灌漑用(かんがい)に造られましたが、今では観光客がボートや釣りを楽しむ憩いの場となっています。
宿泊施設も完備しており、訪れた観光客は、大自然を満喫しつつワインを楽しみながら、Enricaと共に陶芸体験をしたり、プールで泳ぐなど、優雅でゆったりとしたバケーションを過ごしています。
ワイナリーは、穏やかで乾燥した気候の丘陵地帯に位置し、海にも近接しています。このユニークなテロワールが、ブドウ栽培に最適な環境を提供しています。
主な生産品種は、この地域を代表するプリミティーヴォやアリアニコといった赤ブドウ品種です。

ワイナリーへのインタビュー
ワイナリーについてEnricaさんにインタビューしました。
Q. 今年の収穫はどうでしたか?
A. 幸いなことに、昨年のヴィンテージは品質と収穫量ともに非常に良好でした。
Q. 土壌について教えてください。
A. 当畑の土壌は主に粘土質で、粘土質と堆積物が混ざり合っています。この2種類の土壌は、赤ワイン、そして一般的にボディのあるワインに最適です。
Q. ワイナリーでは現在どのような作業が行われていますか?
A. この時期、ワイナリーではさまざまな作業が進められています。新しいワインは、澱(おり)を取り除くために、別のタンクへ移し替えられています。
Q. テロワールの特徴について教えてください。
A. 私たちの畑は、風味と味わいが豊かでアルコール度数の高いワインを造ることに適しています。南東向きのため、ブドウの木は終日太陽の光を浴び、地中海からの風を受けて育ちます。非常に暑い気候であるにもかかわらず、ブドウの木には灌漑(かんがい)をほとんど行いません。
Q. 特にこだわりや誇りを持っている点について教えてください。
A. 私たちは、自然の法則を尊重し、それぞれのワインが持つアイデンティティを大切にしています。ワインは敬意を払うべき自然の素材だと考えています。ブドウ畑の日当たりの良さ、海からの風、そしてブドウ畑とオレンジの木やオリーブの木の美しい交互の配置といった、最高の条件が揃うことで、私たちは力強い個性を持った、自然で素晴らしいワインを造ることができます。
化学薬品や亜硫酸を大量に使う「工業的なワイン」は、誰にでも造れると思います。しかし、それは私たちの目指すところではありません。ワインそれぞれが持つ個性を大切にしたいのです。
Q. ブドウ畑のそばにオリーブの木を植える利点は何ですか?
A. 同じ農園内でブドウ、オリーブ、オレンジを一緒に栽培することは、作物の多様化につながり、病害を防ぐための自然な防壁にもなります。こうした防壁がないと、病気が広がりやすくなってしまいます。
Q. L'ingegnereに合う食事を教えてください。
A. L'ingegnereはフランチャコルタやシャンパーニュと同じ、瓶内二次発酵の製法で造る、シャルドネ100%のスパークリングワインです。中程度の酸味があり、熟成タイプのチーズと一緒にアペリティフ(食前酒)として楽しんだり、さまざまなパスタ料理や肉料理などメインディッシュにもよく合います。
私の家族も私自身も、アペリティフからデザートまで、ずっとこのワインを楽しんでいます。
Q. MONADEに合わせるおすすめの郷土料理は何ですか?
A. MONADEとPrimebaccheは、コクのある煮込み料理ととても相性がいいワインです。
特におすすめなのは「日曜日のラグー(ラグー・デッラ・ドメニカ)」です。この料理は時間をかけて作ることが大切で、主に豚肉と牛肉を使って作られます。私のお気に入りは、祖母が作ってくれたレシピで、豚の皮や耳など、昔ながらの部位も加えていました。
まず玉ねぎと一緒に肉をしっかり炒め、その後トマトソースを加えます。すべての材料を数時間じっくり煮込むことで、深い味わいになります。とてもおいしく、手打ちパスタに合わせるのが一般的です。
Q. Mシリーズについて教えてください。
A. Mシリーズは、コロナの真っ只中である2020年冬に、力強い再生への願いを込めて誕生しました。Mシリーズはすべて私の創作で、醸造家とともにワインを造り、ラベルも私がデザインしました。
私の価値観をすべてまとめた限定コレクションとして、最高のパートナーのためだけに作りたかったのです。
Mシリーズは全部で8種類あり、MotherやMade in Italy 、Mediterranean(地中海)、MASSERIAなど、それぞれ「M」から始まる言葉を使用しています。
※レアーレカンティーナでは「M2」、「M4」、「M6」を取扱っています。
最後に
自然豊かな土地で、自然に最大限配慮して造られるMasseria Lanzollaのワイン。女性たちの情熱と献身によって守り継がれるバジリカータのワインをぜひお楽しみください。

▲ 写真左:Enrica/右:Isabella
参考:2021年 日本ソムリエ協会教本、WSET教本

リンジェニェーレ ブリュット
シャンパン方式で造るクラシックなスタイルのスパークリングワインです。
¥4,620(税込)

モナーデ 2018
黒ブドウを芳醇に醸した 雄大なフルボディの赤ワインで、苦味やコクもあり、力強い味わいです。
¥3,850(税込)

M2 バジリカータ・ロッソ 2019
「M2」のMは“mother”のMで、すべての女性の捧げたいという生産者の思いが込められています。
¥5,280(税込)

M4 バジリカータ・ロッソ 2020
「M4」のMは“Made in Italy”の頭文字をとって名づけられました。
¥4,840(税込)

M6 バジリカータ・ロッソ 2019
「M6」のMはワイナリー名である“MASSERIA LANZOLLA”のMに由来しています。
¥4,840(税込)
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