ワイナリー通信 Vol.5 〜Majolini 2024冬〜

イタリア経済の中心地、ロンバルディア州

州都はミラノでイタリア北西部に位置しています。商業・金融・重工業などの産業が多く集まり、国民総生産(GDP)は約25%とイタリア国内で最も豊かな州です。州の北部はアルプス山脈が連なっており、山岳部には氷河を起源とした多数の湖があります。なかでもコモ湖はイタリア随一の避暑地として国内外で人気を博しています。

ロンバルディア州のワイン

ロンバルディア州を代表するワインといえば高級スパークリングワインのフランチャコルタです。フランチャコルタはフランチャコルタ地区で下記の厳しい規程のもと醸造されたワインで、年間生産本数は2000万本ほど。対してシャンパーニュの生産本数は約3億本で、フランチャコルタの希少性の高さがうかがえます。

使用可能なブドウ品種 シャルドネ
ピノ・ネーロ (ピノ・ノワール)
ピノ・ビアンコ
エルバマット ※1
ブドウの収穫方法 手摘み
最低瓶内熟成期間 通常:18ヶ月
サテン・ロゼ:24ヶ月
リゼルバ:60ヶ月
熟成方法 瓶内二次発酵 ※2

※1 エルバマット:2017年よりフランチャコルタの使用認定品種に追加された。(最大10%までブレンド可能) 晩熟で酸が高い品種。16世紀頃よりロンバルディアで栽培されていた土着品種だが一時絶滅品種に。温暖化でブドウの酸が上がりづらい中、フランチャコルタの品質を保つとされ、近年栽培するワイナリーが増えている。

※2 瓶内二次発酵:一次発酵(アルコール発酵)を終えたワインを瓶詰めし、糖分と酵母を加えて瓶内で再度発酵させる方法。発酵中に発生する二酸化炭素は、密閉された瓶から排出されず瓶内でワインに溶け込むため、よりきめ細やかで美しい泡が生まれる。

フランチャコルタの醸造方法

フランチャコルタは下記のように造られます。

Majoliniで使用しているジャイロパレット

Majoliniについて

ここからはレアーレカンティーナがフランチャコルタを輸入しているワイナリー、Majolini(マイオリーニ) ※3 についてご紹介します。Majoliniは1962年に現オーナーであるSimone Maiolini氏の祖父、Valentino Maiolini氏が創業した家族経営のワイナリーです。オーメという人口約3000人の小さな街にあり、先祖代々この土地で暮らしてきました。畑は標高170〜500mに位置し、土壌は希少な石灰岩質でメドーロと呼ばれています。その個性ある土壌がブドウに豊富なミネラル感を与え、ワインに酸味や塩味のニュアンスをもたらしています。

※3 ワイナリー名は「Majolini」、生産者は「Maiolini」表記

ワイナリーオーナーへのインタビュー

ワイナリーについてオーナーで生産者のSimone Maiolini氏に聞いてみました。


Q. 今年の収穫はどうでしたか?また全ての畑のブドウを収穫するには何日かかるのでしょうか?

A. 今年は大変な年でした。3月から5月にかけ雨が続き、開花と結実をしない樹が多かったため、生産量が大幅に減りました。通常は毎年18万本ほど生産するのですが、今年の生産本数はわずか8万本まで減少しています。収穫にかかる日数や時期は年によって異なります。8/15-8/30まで連続で収穫する年もあれば、今年のように一週間収穫した後、ブドウの成熟度合いにより一時収穫を中断。再開して一週間で残りの収穫を終えることもあります。常にブドウの様子を細かく確認し、いつ収穫するか判断しています。


Q.ブドウ畑の面積と主に栽培しているブドウ品種を教えてください。

A.畑は24区画あり、総面積は21ヘクタールです。様々な場所に畑があるので、畑によって向いている方角は異なります。標高の高い部分に位置しているため、酸の高いブドウの栽培が可能です。栽培しているブドウ品種は主にシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ブランコです。クルテフランカ※4に使用するメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンも栽培していますが、祖父が植えたもので樹齢は40年ほどになります。この地域は9月中旬から雨が降るため、晩熟の品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンは成熟しにくく育てるのが難しいです。

※4 クルテフランカ :かつての地名でフランチャコルタの語源と言われている。ワインの種類。スティルワイン(発泡性でない)で赤ワインと白ワインがある。


Q.「Majolini」という名前のブドウ品種があると聞いたのですが詳しく教えてもらえますか?

A. マイオリーナという土着品種のブドウを植えています。今マイオリーナ100%のスパークリングワインを醸造中です。600本分造っているのですが様子を見て難しいようであればグラッパにしようと思っています。(笑)


Q. 夏にブドウを収穫してからワイナリーではどのようなことが行われていますか?

A. 圧搾したブドウをアルコール発酵させていきます。アルコール発酵を開始し30日ほど経過すると、どのワインをサテン用にするか、リゼルバ用にするかとティスティングしながらイメージします。おおまかなイメージをもって12月に一度、ワインのブレンドをします。この段階は試験的なブレンドであるため少量ずつ行います。1-2月に再度ワインを確認し、最終的にブレンドするワインを決定します。


Q. ワインをブレンドする際のテイスティングは誰がするのですか?

A. 私と醸造家合わせて4名で行っています。


Q. デゴルジュマン後、ワインに添加するリキュールについて教えてください。

A. ワインをティスティングし、それぞれのワインに合うリキュールを作成しています。リキュールはワインと糖を合わせたものですが、種類によってはワインだけを添加することもあります。
BRUTを例に挙げると毎年4回(4つの時期)に分けてデゴルジュマンを行うのですが、1回目と4回目ではワインの味が異なるため、テイスティングしてから添加するリキュールを作ります。 1回目のワインは非常に若々しくフレッシュであり、4回目のワインは1回目に比べると熟成感が出てきます。ワイン醸造に携わったばかりの頃はデゴルジュマンの時期により異なった味わいのワインを、同じ味わいになるようリキュールを作成することは困難だと思っていました。今はそれが私の仕事です。


最後に

食前からディナーの最後まで、あらゆるシーンで楽しむことができるMajoliniのフランチャコルタ。特にシャルドネ100%で作られるサテンは、ドライな飲み口とミネラル感、リンゴやグレープフルーツのようなフレッシュな酸味が日本食によく合います。味わいだけでなく、長時間持続するきめ細やかな美しい泡は、うっとりするような優雅な時間を演出します。クリスマスや年末年始など特別な日にピッタリです。ぜひこの機会にお楽しみ下さい。

参考:フランチャコルタ協会HP、2021日本ソムリエ協会教本

フランチャコルタ・ブリュットNV

フランチャコルタ・ブリュットNV

Majoliniと言えばブリュット!の定番商品。リンゴや柑橘類のさわやかな果実味と、ミネラリーな重量感、エレガントな余韻をお楽しみください。

¥7,480(税込)

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フランチャコルタ・ブリュット・ミレジマート・エレクト 2018

フランチャコルタ・ブリュット・ミレジマート・エレクト 2018

良年のみに造られる「エレクト」。エレクトの由来は「SELECT」であり、良い畑の良いブドウのみを使用し造っています。先日行われた関係者向け試飲会で人気No.1となった一押しのワインです。

¥8,580(税込)

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フランチャコルタ・ブリュット・ミレジマート・リゼルヴァ

フランチャコルタ・ブリュット・ミレジマート・リゼルヴァ "ヴァレンティーノ・マイオリーニ" 2011

120ヵ月以上の熟成で造られるマイオリーニのトップキュヴェ。きめ細かい泡立ちとトースト、フルーツ、花、ミネラルなどの複雑な香り、包み込むような非常にエレガントな味わいで、上品な余韻が長く続きます。

¥19,800(税込)

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