ワイナリー通信 Vol.4 〜Tenuta Carobbio2024秋〜

中世の面影と美しい田園風景を満喫できる、イタリア中部のトスカーナ州。

州都フィレンツェや古都シエナ、ピサの斜塔など一度は訪れたい観光地が多く集まっています。フィレンツェはルネサンス発祥の地であり、レオナルド・ダヴィンチやラファエロ、ミケランジェロなどの偉大な芸術家がこの地から輩出されました。中世の美しい街並みを楽しめる一方、緑豊かな美しい田園風景も有名で絵画のような景色が訪れる人をどこか懐かしい気分にさせてくれます。

トスカーナ州のワインと主要なブドウ品種

トスカーナ州のワインの生産量は中規模ですが、高品質なワインが多く造られています。キャンティ、キャンティクラシコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノなどDOCG(統制保証原産地呼称)は計11銘柄。生産されるワインの8割が赤ワインで、栽培されているブドウ品種はサンジョベーゼが主となっています。

黒い鶏(ガッロネロ)の伝説

さてトスカーナを代表するワインといえば「キャンティクラシコ」です。そのキャンティクラシコに描かれている黒い鶏を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。なぜ黒い鶏なのか、あのシンボルマークにまつわる伝説をご紹介します。

中世の時代、シエナ共和国とフィレンツェ共和国の間で領土争いがありました。長い紛争ののち次の解決策が提案されました。「ここから鶏を一羽ずつ領土に持って帰り、翌朝鶏が鳴いたらそれぞれ領土を出発する。両軍が出会ったところを国境としよう。」両軍は合意し、シエナ軍は白い雄鶏を、フィレンツェ軍は黒い雄鶏を選びました。領土に帰るとシエナ軍は「鶏にたっぷり食事とワインを与えよう。そうすればすぐに眠り、明日の朝には満足して早起きしてくれるはずだ」と考え、白い雄鶏は満腹で眠りにつきました。 一方フィレンツェ軍は黒い鶏に何も与えませんでした。するとお腹を空かせた黒い鶏は夜中のうちに鳴き声を上げ、フィレンツェ軍は早々に出発。結果フィレンツェ軍はシエナ軍より距離をかせぎ、領土を拡大することができたのです。

この出来事から黒い鶏は、キャンティクラシコのシンボルマークになったと言われています。

※イタリア語でガッロは鶏、ネロは黒の意味

Tenuta Carobbioについて

ここからはレアーレカンティーナが輸入しているキャンティクラシコの造り手「Tenuta Carobbio」をご紹介します。15世紀に設立された歴史的なワイナリーで、モナ・リザのモデルであると言われている「リサ」の父アントンマリアがかつて管理していました。現在はDario Faccin氏がオーナーを務めています。畑はキャンティ地区の中心に位置し、標高は350~450メートルほど。昼夜の気温差が大きいため、濃厚でエレガントなアロマ感溢れるワイン造りを可能にしています。また土壌は水捌けと保温性、保水性に優れているためブドウ栽培に非常に適しています。土地の90%はサンジョベーゼの畑で、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、ピノ・ブランも栽培しています。

エクスポートマネージャーへのインタビュー

ワイナリーについてエクスポートマネージャー(輸出責任者)のAndrea氏に聞いてみました。


Q. 今年の収穫について教えてください。

A. 9月の第2週から10月の後半にかけて全ての収穫を終えました。今年は8月末から雨が続き、この地域全体にとって大変なものとなりました。しかし天候に左右され早く収穫するのではなく、完全に熟成するまで待ったことと、良い風がブドウを健全に保ってくれたおかげで最終的に全てのブドウを安全に健全に収穫することができました。生産量はそれほど多くありませんが、非常に良質で高品質なものとなりました。


Q.来日中に印象に残った日本食と、合わせて飲みたいCarobbioのワインを教えてください。

A.私は日本食が大好きなので印象に残った食事はたくさんあるのですが、寿司や刺身、天ぷらにはPILUKAがよく合うと思います。また天ぷらやしゃぶしゃぶにはキャンティクラシコを合わせることをおすすめします。


Q.オーナーのDario氏が大切にしていることや信念がありましたら教えてください。

A. 「ブドウの樹を大切に手入れしてこそ素晴らしいワインができる」という信念を持っています。「最新の技術により誰でも美味しいワインを造ることが可能になったが、本当に飲み干したいと思うワインを造るには何か特別なものが必要である、そしてそれは畑から生まれる」とDarioは考え日々畑と向き合っています。 またDarioは「ホスピタリティ」も大切にしています。ツアーやテイスティングでワイナリーを訪れるお客様をお迎えし、この土地とワイナリーの物語、ワイン造りの全過程を紹介することは彼らの喜びとなっています。


Q. 日本のお客様にメッセージをお願いします。

A. Carobbioのワインを愛してくださる皆様、私たちはパンツァーノ(地名)の一角、黄金の谷の高台に位置するこのユニークなテロワール(※1)を可能な限り最良の形で解釈し、卓越したワインを生み出すために常に努力しています。私たちのワインを飲んでいただければ、Carobbioの温かくエレガントなタッチ、ブドウの力強さと深み、伝統と現代性の融合を感じていただけることでしょう。ただ飲むだけでなく、ワインを通してトスカーナの感動的な体験をしていただけると嬉しいです。

※1テロワール フランス語で「風土、土地の個性」の意。気候や土壌、標高などブドウ畑を取り巻く自然環境要因を指す。


最後に

Darioは自身の哲学について次のように言っています。「ワインは良い人間関係を作ってくれる。ワインはただの飲み物でなく、文化であり情熱でありリラックスして会話を楽しむもの。最後に最高のワインを仲間と飲めればそれでいい。」 Carobbioだけでなく近年多くのワイン生産者や輸出担当者から異常気象の影響とその環境下でのブドウ栽培の難しさを耳にします。どちらの生産者も従来のスケジュール通りに動くのではなく、常にブドウの成長を注意深く確認し試行錯誤しながら収穫まで大切に育てています。良いワインを造るための努力は惜しみません。トスカーナの情熱溢れるCarobbioのワインをぜひお楽しみください。

キャンティ・クラシコ 2016

キャンティ・クラシコ 2017

Carobbioのアイデンティティとも言える一本。バランスの取れた酸、よく溶け込んだタンニン、サンジョヴェーゼの豊な果実味を表現しており、食事に合わせやすい赤ワインです。
トマトソースのパスタやチーズ料理とのペアリングからぜひお試しください。

¥4,950(税込)

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ピルーカ・ピノ・ビアンコ 2021

ピルーカ・ピノ・ビアンコ 2021

赤ワインが主流の地で、ピノ・ビアンコ100%で造られる生産本数の少ない希少な白ワイン。
フレッシュでバランスの取れた味わいは日本食との相性も抜群です。

¥7,480(税込)

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ピエトラ・フォルテ 2014

ピエトラ・フォルテ 2014

力強さの中にエレガントさも感じられるバランスの良いフルボディ赤ワイン。
トスカーナの魂溢れる、スパイスの効いた単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨンをお楽しみ下さい。

¥13,200(税込)

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