イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.3 風光明媚な街並みとゆたかな食
肥沃な大地プーリアの地ブドウ

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、プーリア州「ヴァローネ」の「ヴァルサンテ ネグロアマーロ 2019」をご紹介します。

ヴェルサンテネグロアマーロ 海に囲まれ、山脈や丘陵地、平野など地形の変化に富んだイタリアでは、日本の5分の4ほどの小さな国土のなかに、さまざまなテロワールが生まれます。地域ごとに固有のブドウ品種と、土壌の個性があいまって、各地で特色ゆたかなワインが生まれ、それが伝統料理と結びついて発展してきた食文化は、まるで「美味しいものがたくさん詰まったブーツ」のような魅力にあふれています。

プーリアの風景1 今回紹介するプーリア州は、ブーツのちょうど「かかと」の部分、イタリア南東部に位置しています。東にはアドリア海、南にはイオニア海が広がり、広い平野部は国内有数の「穀倉地帯」で、オリーブオイルやパスタ用の小麦などイタリアらしい食材の主要産地が、ここプーリアなのです。

 その食文化は、セモリナ粉の手打ちパスタ―「オレキエッテ」と呼ばれる小さな耳の形をしたパスタが有名―や、野菜、豆の料理など「素朴で家庭的」なものが中心で、以前、イタリア料理の教室でプーリア料理を教わったときには、ほっとするような温かな味わいに魅せられました。

プーリアの風景2 食文化に加えて、「いつか訪れてみたい」と私をとりこにしてやまないのが、旅行雑誌のグラビアで眺めるプーリアの美しい街並みです。呪術的なまでに華麗な彫刻が施されたレッチェのバロック建築や、世界遺産にも登録される正八角形の城「カステル・デル・モンテ」など壮麗な建築遺産、また、鮮やかなブルーの海沿いに白亜の建物が並ぶ地中海らしい風景にも目を奪われます。

 ワイン造りにおいては、長らくヨーロッパへのブレンド用ワインの供給地でしたが、近年は生産者元詰めの質の高いワインが多く造られるようになりました。アメリカでは「ジンファンデル」の名で呼ばれる「プリミティーヴォ」や、色の濃い赤ワインを生む「ネグロアマーロ」など、古くから残る土着のブドウを生かした、プーリアならではのワインが人気を呼んでいます。

ぶどう畑 今回紹介する「ヴァローネ」も、そんなプーリアワインの新しい流れを汲む生産者で、州の南部、サレント半島のレッチェで1936年に家族経営でスタートしました。地中海気候と石灰粘土土壌に恵まれた銘醸地で、有機栽培にこだわってブドウづくりをしています。

 「ヴァルサンテ」はネグロアマーロから造られ、レッドカラントやラズベリーなどの赤い実や、ドライのサンザシやイチジク、鼻をくすぐるような黒コショウの香りが感じられます。口に含むと、ジューシーな果実味が際立ち、酸味は穏やかで、かすかな苦味をのど越しに感じます。タンニンがしっかりありながら、重すぎず、程よい複雑味が魅力的です。

ワインとお料理 お料理は、豚スペアリブのグリルを合わせてみました。焼き色をつけたあと、オーブンに入れるだけの簡単な料理ですが、ソースにひと工夫して、煮詰めたバルサミコに蜂蜜とオリーブオイルを合わせて、ワインのフルーティーな要素を取り入れました。粒マスタードで味わいを引き締めてみると、豚肉の甘味を引き立て、ワインの複雑味がさらに増すような、満足の仕上がりに。ゆでた白いんげん豆を塩とオリーブオイルで和えた、素朴なイタリアのお惣菜をつけ合わせにしました。

 プーリアの日差しを感じるような、カジュアルで親しみやすいワインは、果実の甘味、渋み、酸味の調和に優れ、すき焼きや鶏の照り焼きなど和食も含め、お肉料理全般にマッチします。肩の力を抜いて、ぜひ幅広いお料理とともに楽しんでみてください。


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