イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.90 濃密なバローロの余韻とともに
感謝を込めてお送りする最終回

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ピエモンテ州の「ロッカ・ジョヴァンニ」が手がける「バローロ・ラヴェラ・ディ・モンフォルテ 2016」をご紹介します。

バローロ・ラヴェラ・ディ・モンフォルテ 2016 はじめにご挨拶になりますが、20221月に連載がスタートした当コラムは、筆者の都合により第90回をもって終了することになりました。これまでお読みくださった皆さま、本当にありがとうございました。最終回もどうぞごゆっくりお付き合いください。

 思えば記念すべき第1回も、「ロッカ・ジョヴァンニ」のバローロから始まりました。バローロは、ピエモンテ州をはじめ北イタリアに根付くブドウ「ネッビオーロ」から造られるワインで、アルバの南側に11の生産地域が広がります。バラやスミレの香りを含むネッビオーロが、熟成に従って官能的なまでに香りを深め、ゆたかなタンニンと酸が響き合う優美な味わいは、一度味わうと忘れることができません。

 イタリア政府による最高級の格付け「DOCG」に認定され、38カ月以上の熟成期間が義務付けられ、リゼルヴァ(通常より長期熟成のタイプ)では62カ月以上。超長期熟成に耐えうる高級ワインとして知られています。

ブドウ畑 「ロッカ・ジョヴァンニ」のワイナリーがあるのは、バローロ地区のなかでも「5大産地」のひとつとされる、モンフォルテ・ダルバ村。1998年からネッビオーロの植樹を始め、この品種に最適な石灰性粘土質と砂質の混ざった土壌で、単一畑から収穫して造るのが「バローロ・ラヴェラ・ディ・モンフォルテ」です。


 樹齢40年以上のブドウを優しくプレスし、発酵中のワインを静かに混ぜるパンチングダウンの手法を用いながら、醸し発酵を1015日間とマロラクティック発酵を行います。フレンチバリック樽で12カ月、スラヴォニアンオーク樽で18カ月、さらに瓶内熟成68カ月を経て、ようやくリリースされます。

ワイン樽 今回のヴィンテージは2016年。ややオレンジ色を帯びた落ち着いたルビーレッドの色調で、しっかりと粘性があり、完熟した印象です。バラのポプリのようなしっとりと華やかな香りに、針葉樹、キノコ、焼きリンゴの香りが入り混じります。

 口に含むと、インパクトのある辛口で、緻密なタンニンとエレガントな酸のバランスがとれ、イチジクの赤ワイン煮のようなこなれた果実味がじんわりと口中に広がります。バターのような旨味と香り高いカカオの風味を伴って、非常に長い余韻が続きます。

キノコ ゆたかな旨味と熟成感から、キノコの味わいを生かしたパスタを合わせてみました。シイタケ、舞茸、ブラウンマッシュルームをフードプロセッサーで細かくし、たっぷりのバターで30分ほど炒めました。途中、戻した乾燥ポルチーニのみじん切りも加えて。ニンニク、玉ねぎ、セロリ、人参のみじん切りをじっくり炒めたソフリット、チキンブイヨンとポルチーニの戻し汁、セージ、ローズマリー、バターと合わせて、茹で上がったパスタを手早く絡めました。

 パスタは手打ちのタリアテッレを使用し、グリルした鶏もも肉を添えて出来上がり。バターとキノコの芳醇な風味のソースに、卵たっぷりの手打ちパスタがよく絡んで、バローロの凝縮した旨味が同じトーンで寄り添います。しっとりとしたペアリングを、ワインの綺麗な酸が抜けるような華を添え、濃厚でありながら、弾むような愉しさのある力強いバローロの味わいを堪能できました。

ワインと料理 月3回のペースでイタリア各地のワインを味わい、合わせる料理を考えるなかで、イタリアワインの背景にあるストーリーに引き込まれました。北と南で大きく異なる気候風土、多数の民族との関わりとともに歩んだ歴史、それらと各地域のワインの発展は分かちがたく結びついています。

 そんなイタリアワインのストーリーに敬意を払いながら新時代のワインを世に送り出す生産者の方々に代わって、言葉を介して11本のワインの魅力を伝えたいと思ってきました。コラムを通して、90本もの素晴らしいイタリアワインに出会えたことを心から嬉しく思っています。

 当コラムを読んで「私もイタリアワインが好き」「バローロを初めて飲んでファンになった」などのお言葉をいただくことができました。これからもレアーレカンティーナのワインをご愛顧いただければ幸いです。またどこかでお目にかかれることを願っています。ありがとうございました。


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