「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、トスカーナ州の「カロッビオ」が手がける「ヴィン・サント・デル・キャンティ・クラシコ2011」をご紹介します。
まもなくバレンタインデー。この日を前に、「あの店のチョコレートを味わってみたい」「あの人は甘党だったかな?」などなど、“甘い話題”をする機会が増えているかもしれません。
私は、というと、「ワイン大好き、甘いものも大好き。でも甘いワインはちょっと……」と20代はじめの頃は思っていました。ですが、それはたんに「美味しい甘いワイン」を知らなかったから。そう気づいたのは、貴腐ワインに出会ったときでした。
貴腐ワインは、樹になった状態のブドウを貴腐化させ、糖分やフレーバーを凝縮させて造るワインで、フランスのソーテルヌなどが有名な産地です。ほかにも、ドイツの遅摘みワインやカナダのアイスワインなど、製法は異なるものの、ブドウ本来の甘味を凝縮させた上質なデザートワインが世界じゅうにあることを知り、楽しみがますます広がっていきました。
今回ご紹介する「ヴィン・サント(ヴィーノ・サント)」は、陰干しブドウから造るイタリアの甘口ワイン。トスカーナ州をはじめとする中部イタリアが中心産地で、収穫後2~5カ月ほど陰干しして、糖度が高まったところで果汁を搾って発酵、熟成させます。
なかでも、こちらのワインは、イタリアを代表する赤ワインDOCG「キャンティ・クラシコ」と同じエリアで造られ、「ヴィン・サント・デル・キャンティ・クラシコ」としてDOCに認定されています。陰干しは糖度が27%を超えるまで、最低熟成期間は24カ月など細かな規定が設けられ、ブドウ構成はサンジョヴェーゼが80%以上。白のタイプもあり、そちらはトレッビアーノ・トスカーノ、マルヴァジアなどのブドウが主体です。
豊かな日照と特徴的な泥灰土壌「ガレストロ」に恵まれた「カロッビオ」のブドウ畑から、手摘みしたブドウを用いて、小樽で4年間じっくり熟成されています。なお、ラベル下部に赤文字で書かれた「オッキオ・ディ・ペルニーチェ」は、赤の「ヴィン・サント」を表しています。
ルビー色が褐色を帯び、明るいレンガ色になった液体をグラスに注ぐと、甘い香りがたちまち周囲に広がります。ヴァニラ、カラメル、アーモンドといったコクのある香りと、ドライのイチジクやプルーンの濃密な香り。
口に含むと、非常にまろやかでなめらか、蜂蜜のようにトロリとした甘さとフルーティーな酸味が口中を満たしていきます。飲み干すときの、やや辛口なニュアンスときれいな酸が後味をスッキリと仕上げ、とても上品な飲み心地です。
バレンタインを意識して、手作りのチョコレートスイーツを合わせてみました。ビタータイプのチョコを湯煎で溶かし、刻んだナッツやドライフルーツを混ぜてキャンディ状にラップで包み、冷蔵庫で冷やすこと30分。
中に入れたのは、プチプチとした食感が楽しいイチジク、ベリーの風味と色味がアクセントのクランベリー、ほろ苦さと酸味が大人の味わいをプラスする自家製の文旦ピール、そのほかクルミ、アーモンド。表面に粉糖をあしらうとサラミのようで、切り分けると断面の表情が楽しげなお菓子です。
チョコのほろ苦さと甘さ、ナッツのコク、フルーツの酸味が一体となって、酸味と甘みを凝縮させたヴィン・サントに寄り添い、至福の味わいとなりました。スイーツのほか、青カビタイプのチーズ「ゴルゴンゾーラ」にも合わせてみましたが、ワインのふくよかな甘さが引き立って、また違う魅力に。
食後酒として、アペリティフとして、イタリアの甘口ワイン「ヴィン・サント」を取り入れてみると、ちょっと優雅なひとときを楽しめることと思います。
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