イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.35 南イタリアの太陽に育まれた
ブドウの甘味を陰干しで凝縮

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、プーリア州「ヴァローネ」の「アパッシメント2018」をご紹介します。

アパッシメント2018 寒い季節になると、暖かい地方へ旅に出たくなりますね。思い立ってすぐに、というわけにはなかなかいきませんが、「ワインを通じて旅する気分を味わう」ことなら、いつでも手軽にできます。

 今回ご案内するのは、南イタリアのプーリア州。ブーツの形をしたイタリアの「かかと」の部分で、東にはアドリア海、南にはイオニア海が広がっています。紺碧の海と青い空、白亜の建物の美しいコントラストが見えてきましたか?

プーリア風景 「ヴァローネ」のワイナリーがある街・レッチェは、華麗な彫刻が施されたバロック建築で知られています。冬でも温暖な地中海性気候に恵まれ、水はけのよい石灰粘土土壌の畑では、有機栽培にこだわってブドウが栽培されています。 

 その品種は、ネグロアマーロ、ススマニエッロ、フィアーノ、オッタヴィアネッロなど、プーリアと南イタリア土着のものが中心。長らくヨーロッパへのブレンド用ワインの供給地だったプーリアで、古くから残る土着ブドウを生かしたワイン造りに情熱を傾けている造り手です。

 今回のワインの名前「アパッシメント」は、収穫したブドウを陰干しして半分乾燥させてからワインを造る製造方法のことです。こちらのワインでは、収穫を遅らせてブドウの糖度を上げたあと、房のまま乾燥させて、さらに果実味を凝縮させています。

ブドウ グラスに注ぐと、やや黒みを帯びた濃厚なルビーレッドの色調で、レッドカラントやラズベリーなどの赤いベリーの香りが際立っています。カカオやシナモン、黒コショウの香りもしっかりと感じます。

 口に含むと、果実味が非常に豊かで、濃厚な甘味を感じ、酸味は穏やかです。アルコール度数は15度と高めですが、のど越しにピリッとした感じはなく、まろやかで豊満、心地よいタンニンを感じます。

ブドウ畑 太陽を浴びたブドウの力強さを感じる、南イタリアらしいワインに合わせてみたくなったのは、日本の伝統料理・鰻の蒲焼きです。じつは鰻が大好物で、鰻と持ち寄ったワインを合わせる会食に参加した経験もあり。このワインを味わったとき、「鰻の蒲焼きにいけそう」と思ったのです。 

 真空パックの蒲焼きをフライパンに入れ、お酒を振りかけてフタをして3分ほど、ふっくらと蒸しあげます。炊き立てのご飯にのせ、添付タレと山椒を添えていただく、ごくスタンダードな味わい方です。

料理とワイン 醤油とみりんのタレが絡んだ、ふっくらと肉厚な鰻、なめらかな口当たりのワインは、その美味の延長にあるようです。凝縮したフルーツのフレーバーが、濃厚な蒲焼きの風味を包み込み、山椒のスパイシーな風味とワインの黒コショウのニュアンスが心地よく響き合います。 

 サラダには、皮が桃色のカブとご近所さんが分けてくれた新鮮なルッコラを使いました。力強い野性味を感じる、ルッコラのほろ苦さが、ワインの甘味をいっそう引き立てます。ドレッシングには煮詰めたバルサミコ酢を使い、パルミジャーノ・レッジャーノを振りかけて、赤ワインに合うサラダにしてみました。 

 赤い花と金色のつる草模様に彩られたエチケットも、パッと目を引く華やかさです。大切な人への贈り物に、1年頑張った自分へのご褒美に、ブドウの甘味がギュッと詰まった贅沢な「アパッシメント」を選んでみてはいかがでしょう?


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