「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。その一つひとつの魅力をお伝えする「読むワイン」第1回は、ピエモンテ州「ロッカ・ジョヴァンニ」の「バローロ 2015」をご紹介します。
ピエモンテ州と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか? 州都トリノでは2006年に冬季オリンピックが開催され、観光都市として人気を集めるほか、古くからヨーロッパ他国への通路として栄えてきた、北イタリアの中心地です。
さて、食文化に注目してみると、白トリュフやポルチーニ茸など高級食材が名を連ね、イタリア屈指のグルメの州であることがわかります。アルプス山脈の雪どけ水に恵まれた農業地域であることに加え、地理的な近さから、また、かつてサヴォイア王家に支配されていた歴史などから、フランスの影響を色濃く受けて食文化が発展してきたことにも特色があります。
それゆえ、世界でも屈指の高級ワイン産地に数えられ、なかでも「バローロ」は、「王のワイン、ワインの王」と称えられる特別な存在です。
イタリアワインのボトルネックに付いた「DOC」「DOCG」と印字されたシールをご存じでしょうか。これは、ワインの原産地保護のために政府が定めた、「地域」「ブドウ品種」「アルコール度数」などの基準を満たしたワインにのみ付けられるもので、DOCG「バローロ」は、ブドウ品種「ネッビオーロ」を100%使い、収穫翌年の1月1日から3年以上の熟成期間を経ることなどが義務付けられています。
ピエモンテを中心に栽培されるネッビオーロのワインはほかにもありますが、品種特有の豊富な酸とタンニン、スミレのような深い芳香、高いアルコールが、長期熟成によってなめらかに昇華したバローロは、とりわけワインファンを魅了してやまない存在なのです。
「ロッカ・ジョヴァンニ」のワイナリーは、バローロを生産する11の地域のなかでも、「5大産地」のひとつといわれるモンフォルテ・ダルバ村にあります。化学肥料や農薬を使用せずに守り育てた、樹齢40年以上のネッビオーロを優しくプレスした後、醸しながら発酵し、オーク大樽で30カ月、さらに瓶内で6~8カ月の熟成を経てリリースされます。
グラスに注ぐと、プルーンやダークチェリーなど黒い果実、ほんのりと香ばしいナッツ、赤や紫の花、樹木、スパイスなどが混じり合った、非常に濃密な香りが立ちのぼります。
口に含むと、パワフルな果実味と密度の高いタンニンが口中を満たし、後味に広がる酸味がスーッと心地よく、長い余韻がしばらく続きます。
タンニンの豊かな味わいは、肉料理、とりわけ牛肉のステーキや煮込み料理と抜群の相性で、現地では野菜と牛肉を長時間煮込んだ「ブラサート」という郷土料理が親しまれているそうです。
今回は、香味野菜と赤ワインで1時間以上煮込んだ、牛ひき肉のラグーソースのパスタに合わせてみました。ローリエ、ナツメグの風味、仕上げに添えた熟成24カ月のパルミジャーノ・レジャーノも、ワインの奥深い味わいにぴったりです。チーズやドライフルーツなど手軽なおつまみで、バローロの高貴な香りをメインに楽しむのもいいですね。
寒い日が続きますが、厳しい寒さのなかで豊かな食文化を育んできたピエモンテの風土を思いながら、身体にじわじわと染み入るようなバローロの味わいを、じっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか。
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