イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.22 北国の食文化を優美に彩る
ピエモンテのネッビオーロ

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ピエモンテ州の「ロッカ・ジョヴァンニ」が手がける「ネッビオーロ・ダルバ・ジャクリン2015」をご紹介します。

ネッビオーロ・ダルバ・ジャクリン2015 日本とイタリアの気候風土を比べてみたことはありますか? 日本がおよそ北緯20度から46度に位置するのに対し、イタリアは北緯35度から47度と北にありますが、暖流の北大西洋海流と冷たい風をさえぎるアルプス山脈の影響で、高緯度のわりに比較的温暖です。どちらも南北に細長い地形をもつため、気候風土が変化に富み、北海道と沖縄の食文化が違うように、イタリアの北と南では郷土料理もワインのタイプも大きく異なっています。

 私のふるさとが北緯43度の札幌にあるせいか、親近感を抱くのは、やっぱり北の地方。アルプス山脈の雪どけ水に恵まれたピエモンテ州の特産物を追ってみると、ポプラ、甜菜、ジャガイモ、牛、豚……のどかに牧草を食む牛たち、まっすぐなポプラや針葉樹の森、そんな北海道郊外の風景と、まだ訪れたことのないピエモンテを重ね合わせずにはいられません。

ピエモンテ風景 さらにイメージを膨らませてくれるのが、この地で栽培されるネッビオーロというブドウです。名前の由来は、ブドウの表面につくロウ粉が「霧(ネッビア)」のように見えるからという説もあれば、収穫期がほかのブドウより遅く11月の霧のかかる時期だからという説もあり、神秘的なベールに包まれたようなエピソードも好きです。

 ネッビオーロで造ったワインは、ガーネット調のシックな色味で、熟成にしたがってレンガ色のような深みを帯びていきます。紅茶や枯れ葉のような、奥深く、心を落ち着ける香りが、子どものころに落ち葉を踏みしめながら歩いた秋の森を連想させ、やはり北国をイメージしてしまうのです。

ワイン集合 さて、ネッビオーロといえば、この品種で造られる「DOCGバローロ」が世界に名を馳せています。長期熟成の高級ワイン「バローロ」はもちろん美味ですが、今回紹介する「DOCネッビオーロ・ダルバ」のように、北イタリアにはネッビオーロ主体の多彩なワインがあるので、ぜひ味わってみてください。ブドウ自体が高貴な香りと味わいをもち、熟成で深みを増したネッビオーロのワインは、とってもエレガントで優美です。

木樽 「ジャクリン」は、オーク樽で12カ月熟成され、熟したプラム、クローヴ、スミレ、干し草、針葉樹などの香りが重なり合い、力強い印象です。口に含むと、凝縮した果実の甘味と絡みつくようなタンニン、飲み口は辛口で、黒コショウのようなスパイス感を感じます。

 折しも北海道に帰省中だったので、地元産のおつまみを見繕ってみました。ぜひ合わせてみたかったのは、エゾ鹿肉のパテ。ピエモンテでは、イノシシなどのジビエが好まれており、熟成したネッビオーロとジビエはぴったりの相性です。

料理とワイン エゾ鹿肉に鶏レバーや香味野菜を混ぜたパテは、タマネギの甘味とスパイスのピリッと感が効いています。エゾ鹿のうま味、脂肪分のあるまったりと濃厚な味わいを辛口のワインが引き立て、なめらかなパテの舌触りとワインの長い余韻にうっとりする、抜群のペアリングです。

 チーズは、カマンベールに特化した老舗工房のハーブとペッパー入りのタイプを。ナイフを入れて少し置くとトロリととろける絶品カマンベールに、黒コショウやバジルの風味がじわじわと後を引き、ワインの果実味が一層いきいきと感じられます。

 ジビエの煮込み料理やキノコ料理など、ピエモンテの名物料理を思い浮かべると、食欲の秋がすぐそこまで来ているかのようです。都内に戻れば夏真っ盛りでしょうが、しばし北国の涼しい風に吹かれながら、霧のかかる晩秋の北イタリアを想っています。


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