イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.23 海の幸と羊の島サルデーニャ
陽光浴びたフルーティーな白

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、サルデーニャ州の「スラウ」が手がける「ブラーヌ ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ2019」をご紹介します。

ブラーヌ ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ2019 地中海に浮かぶ島サルデーニャの白ワインは、夏にぴったりの味わいです。「スラウ」のワイナリーは、海からの風と降り注ぐ太陽を浴びるアルツァケーナの街、海抜100150mの場所にあります。北東部の海岸沿いに広がるヨーロッパ屈指の高級リゾート地「コスタ・スメラルダ」にもアクセスがよく、近代的な設備を備えたワイナリーで造られるサルデーニャ伝統品種のワインが、舌の肥えた観光客や地元の人たちから愛されています。

スラウのワイナリー その代表銘柄は、花と果実のアロマをもつ繊細な白ワイン「ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ」。サルデーニャをはじめ海の近くの暖かい場所でよく育つ「ヴェルメンティーノ」を使い、州で唯一、DOCGに認定されるワインです。

 レアーレカンティーナでは、スラウが手がける3種類の「ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ」を扱っています。比較的若い樹木から収穫したブドウを醸したタイプ、高密植で低収量のより高品質なブドウを使ったタイプ、より長い熟成期間を経た「スペリオーレ」のタイプで、今回紹介するのは2つ目のタイプです。

ヴェルメンティーノ グラスに注いだときに広がる、洋梨やメロンのような甘く芳しい香り、かすかに潮風のような香りに、ワクワクと心浮き立つ南イタリアのリゾート地のイメージがふくらみます。海の見えるテラス席で、よく冷えたヴェルメンティーノのワインを手に海の幸のプレートを味わう、そんなシチュエーションがぴったりです。

 口に含むと、よく熟れた白いフルーツの甘味をしっかりと感じ、かすかに塩っぽいニュアンス、酸と苦みが品よく入り混じり、食事に合わせやすいフードフレンドリーな味わいです。

 魚介類全般に好相性ですが、アルコール分が高く、コクがあるため、ホタテや甲殻類、白身魚を使ったソテーやリゾットなど、バターやハーブで奥行きのある味わいをプラスするのがよさそうです。

料理とワイン 前回に引き続き、北海道に帰省中なので、地元スーパーの鮮魚売り場をのぞいてみました。鯛やメカジキなどももちろん合いますが、北海道らしく生ホッケをチョイスし、ムニエルに。知床半島の羅臼(らうす)で水揚げされた、脂ののった真ホッケです。

 ホッケというと開きの一夜干しをイメージされるかもしれませんが、北海道では一尾のままドーンと売られており、新鮮なものはお店でお刺身でもいただけます。くさみはなく、ふっくらとした食感に、脂ののった旨みが楽しめ、アルコール分をしっかり感じる今回のような白ワインにもマッチします。

 サルデーニャの特徴としてユニークなのは、海に囲まれた近代的リゾートを備える一方で、地元の人たちは長いあいだ「山の民族」としての誇りを持って暮らしてきたという点です。その背景には、他国からの支配の歴史がありますが、羊を飼い、独自の文化を形成してきました。そんな「山の文化」が育んだサルデーニャ名物の羊乳チーズ「ペコリーノ」に注目して、やはり北海道産の羊のチーズをペアリングしてみました。

チーズとワイン ホロホロとした食感に、しっかりとした塩気とミルクの甘味を感じる濃厚な北海道産ペコリーノに、ワインの果実味が包み込むように寄り添い、潮風のニュアンスにチーズの熟成の旨みが重なり合います。

 地域特有の花崗岩砂質がヴェルメンティーノにもたらすミネラリィな風味と、たわわに実るフルーツを思わせる芳しい香り。サルデーニャが誇る「ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ」を盛夏の1本にぜひ楽しんでみてください。


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