イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.28 秋の食材と温度変化を楽しむ
銘醸地フリウリのシャルドネ

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の「ヴィーニャ・トラヴェルソ」が手がける「シャルドネ FCO 2018」をご紹介します。

シャルドネ “世界で最も有名な白ワイン品種”といっても過言ではない「シャルドネ」。じつはイタリアの白ブドウ生産量ランキングのトップ5にランクインしています。ちょっと意外でしょうか?

 イタリアワインの特徴は、土着ブドウの豊かさで、その種類は約2千種とも推定されています。その一方で、国際品種のワインも多種多様です。シャルドネはイタリア各地で栽培されていますが、北から南まで細長い国土の気候風土を映し、ニュートラルな品種といわれるシャルドネに、ゆたかな表情をもたらします。ここがやはり「イタリアらしさ」で、大きな魅力ですね。

 今回ご紹介するのは、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の造り手「ヴィーニャ・トラヴェルソ」が、オーダーに応えて“日本限定”で醸造する、特別なシャルドネです。

ステファノ氏 オーストリア、スロヴェニアと国境を接する、イタリア北東部のフリウリは、州のワイン生産量のうち白ワインが76%と際立って多いのが特徴(2020年のデータより)。石灰性粘土と砂質石灰岩が交互に層を成す「ポンカ」と呼ばれる土壌が、ブドウにいきいきとした風味を与えることが大きな理由です。固有品種ではフリウラーノやリボッラ・ジャッラ、そして、ピノ・グリやソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネなどの国際品種が近年注目を集めています。

白ブドウ+ブドウ畑 ワインの色は淡いレモンイエロー。白い花、白桃や洋梨のふくよかな香りに、白コショウやミントのようなスーッと心地よい香りが入り混じる、アロマティックなシャルドネです。口に含むと、まろやかで果実味ゆたかなアタック、グレープフルーツのような酸が軽やかに弾けながら、飲み込むときにはボリューム感と厚みを感じ、余韻が長く続きます。

 キリっと冷やしていただくときのクリーンな味わいと、やや温度が上がったときのコクのある味わい、その違いを料理とペアリングして楽しんでみたいと思います。

サラダとワイン 1品目は、ワインを冷やした状態で、生ハムと柿のサラダに合わせてみました。旬の柿は少しかためのものを薄切りにして、ワインヴィネガーとオリーブオイル、すりおろしたタマネギのドレッシングを添えて。生ハムの塩気を、みずみずしく濃厚な甘味の柿がやわらかに受けとめ、ワインのフルーティーな味わいが広がります。サラダに効かせたブラックペッパー、低温でキリリと際立つ柑橘系のさわやかな風味がアクセントです。

リゾットとワイン ワインの温度が少し上がった頃合いに、栗とパルミジャーノのリゾットを。ベーコンとタマネギのみじん切りをバターとオリーブオイルで炒め、ブイヨンを注いで生米を加えて10分ほど煮込み、蒸した栗、オリーブオイルとパルミジャーノを加えます。美味しさの秘訣は、お鍋から離れずに、スープの加減を絶えず調整しながら、お米をアルデンテの状態に仕上げること。

 お米の一粒ひと粒が、ブイヨンの風味とバターのコクをまとった、アツアツのリゾット。室温に近づいて樽熟成のトースト香があらわれたワインに、ホクホクとして甘い栗、ふんわりとおろした仕上げのパルミジャーノが寄り添って、秋らしく深みのあるペアリングになりました。

 世界各地で親しまれるシャルドネだからこそ、北イタリア・フリウリの造り手が生み出した「特別な1本」として、じっくりと味わっていただければ嬉しいです。


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