「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州の「オルネッラ・モロン」が手がける「プロセッコ・ブリュット」をご紹介します。
グラスの底から弾けるように立ちのぼる泡が、キラキラと輝くスパークリングワイン。食卓にあるだけで気持ちが華やぎますね。イタリアでいえばフランチャコルタ、フランスではシャンパーニュといった、瓶内二次発酵の特別なものもいいですが、気さくな価格帯のなかにも、生産者のこだわりがキラリと光るワインがたくさんあります。
そのイタリアにおける代表格ともいえるのが、ヴェネト州のスパークリングワイン「プロセッコ」。2009年にDOC(統制原産地呼称)に認定され、生産量は近年、右肩上がりだそうです。
世界的な人気の秘密は、イタリアならではの土着品種・グレラを主体にした、他国では味わえない風味にあります。リンゴや梨のような華やかなアロマと、柑橘系のフレッシュな果実味、食事に沿う穏やかな苦味が特徴で、大きなタンクに密閉して二次発酵を起こす「シャルマ方式」という製法によりお手頃な価格も魅力です。
オルネッラ・モロンのブドウ畑は、ピアーヴェ川からの沖積平野として、石灰質で鉄分を多く含む土壌に恵まれ、よりいきいきとミネラル感を含んだグレラが育ちます。ステンレスタンクで発酵後、酵母と接触させたまま数週間置くことで、ゆっくりとその味わいを引き出しています。
じつは当コラムで、オルネッラ・モロンのプロセッコをご紹介するのは、今回が3度目ですが、造り方、残存糖分の違いによって、それぞれ風味が異なります。今回のワインは、7段階の風味表示のうち、3番目に辛口の「ブリュット」。1リットル中の残存糖分が12グラム以下、食事を選ばない中辛口のタイプです。
グラスに注ぐと、底から勢いよく泡が立ちのぼり、みずみずしいリンゴや、まだ完熟していない洋梨、カモミールの花といった、繊細な香りが心地よく感じられます。
口に含むと、レモンやライムのようなキリっとした酸が口中を満たし、その後は、果実の自然な甘味がじわじわと広がり、余韻にボリュームを感じます。
ワインの香りから連想し、少し固めのラ・フランスに生ハムを巻いたおつまみを。ラ・フランスの高貴な香りは、完熟するほど濃厚になりますが、まだ青さのあるカリッとした果肉と、生ハムの熟成感が美味しいコントラストに。口に残る生ハムの塩気に、ワインの柑橘系の酸味がのびやかに広がります。
サーモンは塩をまぶして1日置き、身がふっくらとして味わいの濃くなったものに、白ワインとローリエで煮込んで冷やした長ネギのマリネを添えてみました。しっとりとした食感の中に残る青っぽいネギの香味が、サーモンの脂をさっぱりとさせます。あえてレモンを使わずオリーブオイルのみの味付けに、ワインの苦味と酸味がアクセントになってくれました。
最後は、イタリアのオムレツ・フリッタータ。卵、牛乳、パルミジャーノに、ジャガイモとローズマリーを炒めたものを加えてオーブンで焼き上げています。パルミジャーノのミルキーな塩気、ローズマリーの風味が、パチパチと弾ける泡とリズミカルに響き合います。
フリッタータは冷やしても美味しいので、マリネとともに作り置きしても。あとは洋梨と生ハムをササッと用意すれば、たちまち完成の前菜プレートを“とりあえずプロセッコ”な気持ちで、楽しんでみてはいかがでしょう?
1日の疲れを癒す、気の置けない友人と集う、初対面の人と気持ちを通わせる……etc.プロセッコは、どんなシーンにもマッチする、カジュアルで美味しいスプマンテです。
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