イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.37 南イタリアのシャルドネの風味を
シャンパーニュ製法の上質な泡で

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、バジリカータ州の「ランゾーラ」が手がける「リンジェニェーレ ブリュット」をご紹介します。

リンジェニェーレ ブリュット 新しい年がスタートしました。今年も地域ごとに特色ゆたかなイタリアワインの魅力を、自宅で楽しむペアリングとともにお伝えしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 年初めのワインとして、華やかなスプマンテ(スパークリングワイン)をバジリカータ州からお届けします。

 バジリカータ州の位置は、皆さんご存じですか? 「ブーツ」のかたちのイタリアの“かかと”プーリア州と“つま先”カラブリア州のあいだ、言うならば“土踏まず”の場所にあります。州面積の約半分を山岳地帯が占めているため、ワインの生産量は決して多くはありませんが、紀元前にギリシャからもたらされたブドウ「アリアニコ」で造られる赤ワインなど、特色のあるワインに出会える州です。

ブドウ畑 ランゾーラのワイナリーは、バジリカータ州東部のモンタルバーノにあり、イオニア海を見下ろす丘と平野のあいだに位置しています。アリアニコ、プリミティーヴォといったイタリア南部の伝統品種のほか、メルローやシャルドネなどの国際品種も取り入れ、できるだけ人工的な力を介入せずにブドウ栽培からワイン造りまでを手がける造り手です。

 今回ご紹介するスプマンテは、シャルドネを100%使い、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵の製法で造られています。手間ひまかけてゆっくり発酵させることで、きめ細やかな泡立ちと、ワイン独自の香りが生み出す複雑な芳香“ブーケ”が生まれ、グレードの高い発泡性ワインを生み出します。

セラー・ワインボトル 加えて、今回の「リンジェニェーレ ブリュット」の魅力は、さんさんと日差しの降り注ぐ地中海性気候が育んだ、“南イタリアならでは”のシャルドネの味わいと言えそうです。

 ワインの色調は蜂蜜を思わせる輝きのある黄金色で、グラスの底から立ちのぼる泡が爽快な音を立てて弾けます。香りにはアカシアの花、蜜リンゴのような凝縮した甘い香り、レモングラスのようなハーブのニュアンスも感じられました。

 スパークリングワインの甘辛度の目安は、打栓の前に加える“門出のリキュール” (原酒ワインに糖分を加えたもの)の添加によって決まります。まったく加糖しないタイプも含め加糖量により7段階に分けられますが、こちらのワインは辛口から3番目のブリュットのタイプです。

 一般的には中辛口と呼ばれる味わい区分ですが、口に含んだときに心地よい甘味がしっかりと広がり、非常にフルーティーです。そこは、やはり南部のシャルドネであり、そのポテンシャルを引き出す「ランゾーラ」のワインならでは、なのでしょう。

ローストビーフ お正月のお祝いに作ったローストビーフを合わせてみました。ローストビーフは軽やかな赤ワインにもぴったりですが、今回のような、ふくよかさを感じるスプマンテにもマッチすることがわかりました。

 塩を振って、ニンニクとタマネギ、オリーブオイルをまぶしつけた牛モモ肉をビニール袋で包んで低温調理し、赤身肉の味わいを閉じ込めました。フライパンで焼き色をつけたときの肉汁に、香味野菜の旨みを移したグレイビーソースも手作りで。ソースに使うバターの量を控えて、やや軽めの味わいに仕上げるのがスプマンテに合わせるポイントです。

料理とワイン 切り分けるとローズ色の断面を見せ、食感はふっくらしっとり。赤身肉の旨みに、セロリやタマネギの香りがとけ込んだなめらかなソースが絡み、スプマンテの甘く豊満な味わいとハーブのような複雑味が、やさしく寄り添うように調和します。

 南北に細長いかたちをしたイタリアは、気候風土が変化に富み、州ごとにブドウ品種、ワインの味わいがバラエティに富んでいるのが大きな魅力です。

 皆さんも毎日の食卓にイタリアワインを取り入れて、イタリア全土を旅するような気持ちで一緒に楽しんでみませんか?


「ランゾーラ」の「リンジェニェーレ ブリュット」の詳しいご紹介はこちら

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