「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、トスカーナ州の「タラソナ・ミリアム」が手がける「ヴィナム2019」をご紹介します。
その秘密は、素焼き壺による地中熟成にあるようです。なんと、このワインは「イタリアで紀元前のワイン造りを再現する」という壮大なプロジェクトのもと造られ、年間生産量400本のうちの希少な1本です。
紀元前2000年頃、あるいはさらに以前からワイン造りの原型があったとされるイタリアへ、本格的なブドウ栽培の技術を伝えたのが、ギリシャ人とエトルリア人といわれています。この古代エトルリア人の醸造技術の研究が、2000年からイタリアで始まりました。
素焼きの壺と聞いて思い浮かべるのがジョージアのワイン造りで、クヴェヴリと呼ばれる素焼き壺を使った伝統的なワイン造りが2013年、ユネスコの世界無形文化遺産に登録。それと前後して、日本でも非常に注目が集まっています。ワイン造りの発祥については明確な答えがなく、「一説によると」という前置きが必要ですが、紀元前6000年頃にジョージアのコーカサス山脈から黒海にかけての地域で始まったとも考えられています。
色調は、深いルビーレッド。香りは、ダークチェリー、ブルーベリー、シナモン、ローリエ、なめし皮、そして、蜜蝋や樹脂に由来する蜂蜜や松、ヨーグルトのようなニュアンスもあり、非常に深く広がりがあります。アタックには力強い果実味、続いて酸とタンニンが追いかけっこするように口いっぱいに広がり、ドライチェリーやカカオ、ヨーグルトなどが混じり合った旨味をともなって長い余韻が続きます。
味わう15分から30分ほど前に抜栓し、室温になじませるのがおすすめ。生命を育む「土」の力強さを秘めながら、身体の隅々にいきわたっていくようなナチュラルな味わいに、古代から人々を魅了し、生活に根付いてきたワインの魅力をあらためて感じました。コレクションにもおすすめの1本です。
参考文献:『日本ソムリエ協会 教本2023』
「タラソナ・ミリアム」の「ヴィナム 2019」はこちら
生産者「タラソナ・ミリアム」の詳しいご紹介はこちら