Vol.12 泡立ちに果実味、長い余韻
幸せいっぱいフランチャコルタ

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ロンバルディア州の「マイオリーニ」が手がける「フランチャコルタ・ブリュット・サテン・ミレジマート2016」をご紹介します。

フランチャコルタ

 イタリア北西部のロンバルディア州は、商業、金融、工業などが集まる国内で最もゆたかな州で、国民総生産の約4分の1を生み出しています。中心地ミラノは、最先端のモード、インテリアの発信地としても名高い街ですね。

 20歳のころ初めてのイタリア旅行で、ローマ、フィレンツェのあと、ミラノへ立ち寄ったことがあります。道行く人のなかにハッと目を引くお洒落さんが多く、流行のファッションにハイヒールで闊歩する若い女性の姿に、Tシャツにスニーカー姿の自分が恥ずかしくなったのを忘れられません。

 さて、食の記憶をたどってみると、どういうわけかミラノでは二晩とも同じ中華料理店を訪れました。当時の旅日記には「10日ぶりに白飯が食べられた」「800円ほどでお腹いっぱい。明日も来よう」と書いてあり、どうやらホームシック気味で、ほかの2都市にくらべて物価の高いことにも戸惑っていた様子です。当時ワインを知っていたら、美味しいフランチャコルタの1杯でも……と残念でなりませんが、日本にいながら、こんなに素晴らしいフランチャコルタを味わえるのなら、嘆くことはありません。

マイオリーニ フランチャコルタ 

 「フランチャコルタ」は、フランスのシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵の製法を用いて、ロンバルディア州の特定地域で造られるスパークリングワインの呼称です。産地は州西部、イゼオ湖の南側に広がり、原料ブドウはシャルドネ、ピノ・ネーロ(ピノ・ノワール)のほか、50%以下の割合でピノ・ビアンコ(ピノ・ブラン)の使用が認められています。

 1961年に生まれた新しい産地ながら、その質の高さ、食事を通して楽しめる味わいが人気を呼び、1995年にはイタリアワインの格付けで最高ランクのDOCG(統制保証原産地呼称)に昇格。東京にも専門のバーが誕生するなど、“スタイリッシュな高級スパークリングワイン”として地位を固めています。

マイオリーニ フランチャコルタ2

 マイオリーニでは、「メドーロ」と呼ばれる純粋な石灰岩質の地層を生かし、有機栽培でいきいきとしたミネラル感をブドウに与え、シャンパーニュ由来の酵母を使って熟成させています。今回ご紹介する「サテン」は白ブドウのみを使うタイプで、こちらはシャルドネ100%です。「ブリュット」は残糖度が1リットル中12%以下の中辛口、「ミレジマート」は最低瓶内熟成期間30カ月を意味しています。

 グラスに注ぐと黄金色に輝き、持続性の高い泡が立ちのぼりシュワシュワと弾ける音がなんとも爽やか、リンゴや柑橘類、ミント系のハーブの香りが漂います。すっきりと心地よい酸とキレの良さ、ナッツや蜂蜜のようなコクも感じ、ボリューム感のある飲みごたえです。

ワインボトルイメージ

 ほどよい中辛口はお料理を選ばず、前菜類のほか、魚介類は生でもフリットでも、お寿司や天ぷらなど和食にもぴったりです。今回は自家製「ケークサレ」に、チーズと生ハムを手軽に盛り合わせてみました。フレッシュなシェーブル(山羊)チーズが手に入ったので、蜂蜜を添えてワインのアロマに寄せてみました。やわらかな中辛口に、イタリアのチーズ「タレッジョ」のミルキーで若いタイプもよく合います。

料理とワイン

 36カ月の瓶内熟成を経て、いきいきとしたシャルドネの風味を保ちつつ、しなやかで奥行きのある味わいへ。優しい果実味、クリーミーな泡立ちに口の中が喜びでいっぱいになり、何度でも味わいたくなるようなワインです。

 いつか再びロンバルディア州を訪れ、まだ観ることのできていない「最後の晩餐」の壁画をミラノに訪ねたあと、フランチャコルタの長い余韻に浸ることができたらどれほど幸せだろうと、ほろ酔いで思い描いています。


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