「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州の「デリボリ」が手がける「ソアヴェ クラシコ2020」をご紹介します。
イタリアの白ワインのなかでも「ソアヴェ」は、手ごろな価格のものが多く、スーパーのワイン売り場などでも気軽に買うことができるので、日本でもよく知られた銘柄だと思います。広く流通しているだけに幅広い「ソアヴェ」があって、デリボリのソアヴェを味わったとき「ソアヴェって、こんなに良い香りのワインだったのね」と感動してしまった、というのが私の正直な感想です。
平野部に生産地の広がる「DOCソアヴェ」に対し、丘陵地帯を産地とする「DOCソアヴェ・クラシコ」は、ソアヴェらしいフレッシュフルーティーさに加えて、凝縮感と複雑味を感じられるのが特徴です。
ソアヴェに主として使われるブドウは「ガルガネーガ」で、30%以下の割合で「トレビアーノ・ディ・ソアヴェ」が混醸されることもあります。ガルガネーガは、ヴェネト州で多く栽培され、その香りは、鳥や虫を誘う芳しい香りを放つニワトコの花にたとえられることも。心地よい香り、酸味、ミネラル感、そしてほのかな苦味がきれいに一体化した飲みよいワインとなって、イタリアから世界各地へ、デイリーワインとして知名度を上げていったのです。
グラスに注いだときに漂う花やフルーツの香りに、ブドウの果汁がみずみずしくしたたり落ちそうな鮮度のよさを感じます。柑橘類やリンゴの爽やかな香り、アカシアの花、洋梨、マルメロのような甘い芳香、空気を含んでゆったりと開いていくその香りは、これから味わう食事への期待を高めてくれるので、ソアヴェからお食事を始めるのもおすすめです。
輝くような明るい麦わら色の色調が美しく、口に含むと辛口で清涼感があり、後味には苦味とミネラルの旨みを感じます。魅惑的な香りを良い意味で「裏切る」複雑な味わい、だからこそ食事と非常になじみがよく、「毎日でも飲みたい」と思わせるワクワク感と親しみやすさに、ソアヴェの魅力があると私は思います。
「デリボリ」のワイナリーは、ヴェネト州西部、ガルダ湖の右岸の丘陵地帯にあり、全体的に温暖なヴェネト州のなかでも特に暖かい気候に恵まれています。ソアヴェ用ブドウの栽培エリアは、カリウムとリンが豊富な粘土質の土壌で、ブドウはいきいきとしたミネラル感を備えた辛口に。2つのファミリーがブドウ栽培からワイン醸造までを一貫管理し、ブドウのキャラクターをよく引き出し、ギュッと凝縮したワインとなって私たちのもとへ届けられます。
最近、ベランダで育て始めたハーブを、ソアヴェと相性抜群の魚介類に添えて味わってみることにしました。タコ、セロリ、トマト、イタリアンパセリをミックスしたマリネは、タコとセロリの食感の違いが面白く、タコの旨みとワインの苦味の取り合わせが絶妙、セロリ、パセリのグリーンな香りがソアヴェのキリッとした酸味をいっそう引き出すように感じます。
塩をふってしばらく置いてからスライスしたサーモンには、新タマネギとケイパーを刻んだドレッシングとバジルを添えて。サーモンの脂に重なり合うケイパーの風味を、甘く苦いバジルが上品に引き締める印象です。塩茹でしたブロッコリーをペペロンチーノ風にニンニクでソテーしたものも、思いのほか、ソアヴェと好相性。野菜の旨みでもある苦味を包み込んでくれるような筋の通った味わいが、このワインには感じられます。
香りも味も良くお値段も手ごろ、日々のワインに求める私たちの欲張りな願いを、サラッと実現してくれるソアヴェって偉大! デリボリの「ソアヴェ クラシコ」に出会って、ますますリスペクトを強めています。
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※こちらのワインは「読むワイン」で紹介されたヴィンテージとは異なります。風味や特徴に若干の違いがある可能性がございますのでご了承ください。