イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.18 摘みたてベリーのような果実味
軽やかでチャーミングな伝統ワイン

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州の「ヴィラベッラ」が手がける「ヴィーニャ・モルロンゴ・バルドリーノ・クラシコ 2018」をご紹介します。

ヴィーニャ・モルロンゴ・バルドリーノ・クラシコ2018 じつは、前回、今回とヴェネト州の赤ワインのご紹介ですが、それぞれまったく個性の異なるタイプで、飲み比べてますますイタリアワインの奥深さを感じています。前回は東部の地域に根付く国際品種をブレンドしたタイプ、そして今回は、西部の伝統的なイタリア品種のワイン「バルドリーノ」のご紹介です。

 ヴェネト州はイタリアの北部に位置しますが、最北部をのぞき比較的温暖な気候に恵まれています。アルプス山脈が北からの冷たい風をさえぎり、アドリア海の影響で気候が穏やかになることがその要因です。なかでも、ロンバルディア州との境界にあるガルダ湖周辺は、暖かく、柑橘類やオリーブなどがすくすくと生育する地域。ここに広がる銘醸地が、1968年にDOC(統制原産地呼称)認定された「バルドリーノ」で、「ヴィラベッラ」はこの地にワイナリーを構えています。

ブドウ畑 ゆるやかな丘陵地で、土壌は石ころの混じった氷堆積土壌、ガルダ湖からの暖かい風と、北側の山々からの冷たい風により昼夜の寒暖差が生まれ、アロマゆたかなブドウが育ちます。バルドリーノに使われるのは、コルヴィーナ、ロンディネッラ、コルヴィノーネというブドウで、有機認定を受けた自社農園で育まれたもの。

 「バルドリーノ」という、どことなく重厚な響きとは対照的に、フレッシュでいきいきとした味わいがこのワインの特色です。グラスの縁は明るく、ガーネットを帯びたやわらかなルビーレッドで、際立って感じられるのは、ラズベリー、レッドカラントなど食べごろに熟した小さな赤い実の甘酸っぱい香り。スミレのような可憐な芳香もあり、花とフルーツの魅惑的な香りに引き込まれます。

ワイン樽 口当たりはやわらかく、ピチピチと弾けるようなきめ細やかな酸、ジャムのような密度の高い果実味、舌にほんのりと残る苦味、タンニンは控えめで穏やかです。12カ月の樽熟成を経ているものの、摘みたてのベリーのような香りと味わいが楽しめ、後味はドライで辛口、落ち着きを備えた食事に寄り添うワインです。

 脂の多い肉料理や濃いソースを使ったものよりも、淡泊で優しい味わいの料理が、繊細なバルドリーノの味わいを引き立ててくれそうです。

料理とワイン 鶏ムネ肉の自家製鶏ハムで、カンパーニュのサンドイッチを作りました。スライスしたゴーダチーズ、トマトとレタスを一緒に挟んで、鶏ハムにはアクセントに黒コショウをふって。淡泊な旨みの鶏ムネ肉が、ワインの素直な果実味を引き出します。フレッシュトマトに重厚な赤ワインは合わせにくいと感じますが、このワインなら大丈夫です。

 ワインの温度は室温よりも低めがおすすめ。15℃前後のやや低めで味わうと、フレッシュな果実味をより楽しむことができ、この季節にもぴったりです。初夏から夏にかけての気軽なランチのおともに、ヴェネト州伝統のチャーミングな赤ワイン「バルドリーノ」。ぜひ覚えておいてくださいね。


ヴィラベッラ」の「ヴィーニャ・モルロンゴ・バルドリーノ・クラシコこちら

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※こちらのワインは「読むワイン」で紹介されたヴィンテージとは異なります。風味や特徴に若干の違いがある可能性がございますのでご了承ください。