イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.39 デイリーワインのレベルを上げる
華やかメルローをヴェネト州から

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州の「オルネッラ・モロン」が手がける「オンブレ・ディ・ピエトラ メルロー2019」をご紹介します。

オンブレ・ディ・ピエトラ メルロー2019 ここしばらく、赤ワインではイタリア地ブドウ品種のご紹介が続いていましたが、今回はメルローです。ワイン好きの皆さまにとって、馴染み深い品種ではないかと思います。 

 「メルロー」と口に出して言ってみたときの、なめらかに転がるようなイメージにも似て、ふくよかでなめらかな味わいのブドウです。程よいタンニンがあり、お肉料理にベストマッチ。ご自宅に常備しておきたい1本ですが、2千円台前半というリーズナブルな価格にも驚きです。

 イタリアワインというと、地場品種のイメージが強いですが、いっぽうで国際品種を使った良質なワインもたくさん造られています。なかでも、「オルネッラ・モロン」のあるヴェネト州東部には、19世紀に国際品種がフランスから持ち込まれ、以来、地元のブドウとして100年以上も根付いてきた歴史があります。

ヴェネトイメージ① イタリア政府がワインの原産地保護のために定めた格付け上級ワイン「DOC」「DOCG」にも、この地域では、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローの使用が認められているものがあるのです。

 「オルネッラ・モロン」のブドウ畑は、ピアーヴェ川からの沖積平野で、石灰質や鉄分などミネラルを豊富に含み、いきいきとした果実味のあるブドウがよく育ちます。「オンブレ・ディ・ピエトラ メルロー」は、そんな土地で育まれたメルローの持ち味を素直に楽しめる、とってもフルーティーなワインです。

 グラスに注ぐと、落ち着いたルビーレッドの色調で、プルーンやダークチェリーなど黒系果実の深みのある香りが感じられます。ほかには、クローヴやシナモンなど鼻をくすぐるような甘いスパイス香、ローズマリーやミントの葉のような爽快なハーブの香りも感じます。

ヴェネトイメージ② 口に含んだときのアタックは優しく、しだいにビターな風味と舌を覆うようなタンニンが現れます。飲みごたえがしっかりとあり、ジャムのような煮詰めた果実の甘味と酸味が、心地よく余韻につながっていく印象です。

 ステンレスタンクで熟成させたワインは、温かみのあるメルローの果実味がピュアに感じられ、アルコール度数は12度と軽め。牛肉など重厚な味わいよりも、ポークソテーや鶏肉のグリルなど軽めのメインが似合いそうです。

料理とワイン  今回は、鶏むね肉にハムとグリュイエールチーズを挟んでチキンカツ風にしてみました。たたいて薄くのばした鶏むね肉はしっとりとやわらかで、脂のない淡泊な肉質が、メルローの風味が素直に反映されたワインを引き立てます。ハムの塩気とクセのないグリュイエールチーズの程よい脂肪分がアクセントに。スライスチーズを使えば、さらに手軽に作れますね。

 古代ローマ時代から、ワインブドウ栽培に適した土地として知られてきた場所で、女性オーナーが3人の息子とともに運営するワイナリー。チャーミングなラベルも魅力的で、日々の生活の中にある食事を楽しく引き立てるワインとして、ぜひ気軽に取り入れていただきたい1本です。


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