イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.4 アマローネの優美な芳香伝える
ヴェネト伝統のリパッソ製法

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州「デリボリ」の「ヴァルポリチェッラ・リパッソ クラシコ スペリオーレ 2017」をご紹介します。

ヴァルポリチェッラ・リパッソ クラシコ スペリオーレ2017 イタリアのワイン法については正直なところ、ソムリエ試験の勉強をするときに初めて知りました。「バローロは、ブドウの名前じゃなくワインの銘柄で、ブドウはネッビオーロというのね」「ソアヴェは飲んだことがあるけれど、ガルガーネガというブドウは知らなかった」というレベルでした。

 ワイン法では、DOC(統制原産地呼称)とさらに水準の高いDOCG(統制保証原産地呼称)ひとつずつの銘柄について、原料ブドウの産地やブドウ品種、混醸の比率、アルコール度数、熟成方法および期間などが細かく定められています。現在はDOCGが76、DOCが332あり、試験のときにはDOCGのすべてと、よく知られるDOCについて、部屋の壁にイタリアの地図を貼り、語呂合わせを駆使しながら覚えたものです。

 そんな風にゼロからのスタートでしたが、実際にワインを飲みながら、そのワインが造られた地域や製法について調べてみるのは、まるで旅をするように楽しくて、ワイングラスを片手に「勉強」をずっと続けています。

ヴェネツィア風景 今回ご紹介する「ヴァルポリチェッラ・リパッソ」は、ヴェネト州のDOCに認定されており、同じくDOCの「ヴァルポリチェッラ」と同様に、ブドウ品種はコルヴィーナ・ヴェロネーゼとロンディネッラを主体に造られます。

 銘柄にある「リパッソ」は、ヴェネト州の伝統製法の呼び名で、このワインのユニークな特徴を表しています。使うブドウ品種は同じでも、「アパッシメント(陰干し)」の製法でブドウのエキス分を濃縮してから発酵し、最低2年の熟成を経たリッチでアルコール度数が高いワインに「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」があり、こちらは上級クラスのDOCGに格付けられています。

 この「ヴァルポリチェッラ・リパッソ」は、高級ワイン「アマローネ」に使った圧搾後のブドウをワインに漬け込んで発酵させる製法が用いられ、陰干しブドウの風味をしっかりと感じながら、リーズナブルに楽しめるのが魅力なのです。

ワイナリー風景 ガルダ湖を見下ろす丘の上にある「デリボリ」は、古くからの銘醸地で守り継がれてきた伝統製法を伝えようと、DOC、DOCGのワインに力を入れ、ヴァルポリチェッラの「リパッソ」「アマローネ」をともに手がけています。

 なお、今回のワイン名にある「クラシコ」は、古くからそのワインを生産していた特定のブドウ園で造られるワインに、「スペリオーレ」は規定されたアルコール度数を上回るワインに冠される言葉です。

 グラスに注ぐと、ガーネットを帯びたルビー色で、さまざまな香りが立ち、しばらくの間「香りを味わうこと」に専念したくなるワインです。「アマローネ」の陰干しブドウ由来の凝縮した甘い香り、ダークチェリー、アーモンド、クローブやナツメグなどスパイスの香りも際立っています。口に含むと、完熟フルーツのアタック、のど越しは辛口でアルコールの厚みを感じ、ほのかな苦味が残ります。とても余韻が長く、口のなかでしだいにまろやかな味わいに変化していきます。

ハンバーグとワイン お料理は、生地にナツメグをたっぷり効かせたハンバーグを合わせてみました。バターで炒めたタマネギ、赤ワイン、ケチャップ、ウスターソースを煮詰めて添えると、スパイシーで熟成感のあるワインによく合い、うっとりするような余韻をいつもの夕食に添えてくれました。

 アルコール度数は14%と高めで、冬にぴったりの温かな味わいの赤ワインです。ギュッと凝縮したブドウの風味がとけ込んだ「リパッソ」を、じっくり味わってみてください。


「デリボリ」の「ヴァルポリチェッラ・リパッソ クラシコ スペリオーレ」の詳しいご紹介はこちら

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※こちらのワインは「読むワイン」で紹介されたヴィンテージとは異なります。風味や特徴に若干の違いがある可能性がございますのでご了承ください。