イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.40 希少な土壌が生むミネラル感
10年熟成のフランチャコルタ

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ロンバルディア州の「マイオリーニ」が手がける「フランチャコルタ・ブリュット・ミレジマート・リゼルヴァ“ヴァレンティーノ・マイオリーニ”2011」をご紹介します。

フランチャコルタ・ブリュット・ミレジマート・リゼルヴァ“ヴァレンティーノ・マイオリーニ”2011 2月になりました。バレンタインデーや歓送迎、お世話になった人へのお礼など、これから春にかけて贈り物の機会が増えるという方も多いのではないでしょうか?

 ありきたりの物でなく、何かストーリーのあるプレゼントを、とお考えの方にぴったりなのが、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵を用いた「フランチャコルタ」。ロンバルディア州の指定地域で造られる、イタリアを代表する高級スパークリングワインです。

 原料ブドウもシャルドネ、ピノ・ネーロ(ピノ・ノワール)など、シャンパーニュとよく似た構成ですが、シャンパーニュに比べ生産者数が少なく、熟成期間などの規定も厳しいため、希少価値が高いといわれます。

 フランチャコルタの熟成期間は、種類により18カ月から60カ月のあいだですが、その規定をはるかに上回る120カ月、すなわち10年間の熟成を経てリリースされるのが、こちらの「ヴァレンティーノ」。現オーナーの祖父で創始者のヴァレンティーノ・マイオリーニの名前が冠されています。

マイオリーニ氏 正直なところ、私も10年熟成させたスパークリングワインは初めてだったので、ちょっと緊張しながら抜栓しました。コルクを押さえ、ボトルをほんの少し回しただけで、今にもコルクが抜けそうなほど手に圧がかかります。

 スポンッと小気味いい音を立ててコルクが抜けました。グラスに注ぐと、非常にきめ細かな泡がシュワシュワと弾け、撮影、テイスティングを経て、十数分が経過してもなお、グラスの底から泡が立ちのぼり続けていました。

 はじめに感じたのは焼きリンゴのような香りで、よく熟れたフルーツのアロマと、酵母由来のトーストやブリオッシュの香りが合わさったものと思われます。そこに混じって、レモンやライムの爽快な香りがキリっと際立ち、カモミールのような甘い香りが優しく鼻をくすぐります。

セラー風景 驚いたことに、口に含んだあとも口中でパチパチと音がするほど、泡の持続性が非常に高いです。ボリュームいっぱいの泡が弾けながら、溌溂とした酸とレモンピールのような苦みが顔を出し、非常にキレの良い後味。シャルドネが90%、ピノ・ネーロが10%の割合で、シャルドネの25%を樽熟成させているそうです。

 シルクのようなきめ細かな泡立ちから、レモンのムースを作ってみました。国産レモンの皮をすりおろし、果汁をたっぷり絞って、クリームチーズ、生クリーム、メレンゲとともに少量のゼラチンでなめらかに仕上げ、ほんのり蜂蜜で風味付け。舌の上で儚く溶けるムースと、口の中で弾ける泡が、フワフワと軽やかにマッチし、乳製品のコクやレモンのほろ苦さも心地よく包み込む、ミネラリックで力強い味わいに魅了されます。

料理とワイン1 マイオリーニのブドウ畑は、フランチャコルタの生産地域のなかでも、ごく珍しい「メドーロ」と呼ばれる純粋石灰岩質の土壌にあり、ブドウにいきいきとしたミネラル感をもたらすのが特徴です。
 

 もう一皿は、ホタテの前菜を。刺身用ホタテをサッと湯通しして臭みを抜き、スライスしてトマトソースの上に盛り付けました。プリっとした身の中に甘みの詰まったホタテに、ワインの酸がいきいきと響き合います。お刺身でいただくよりも、香味野菜たっぷりのトマトソースを合わせたことで、長期熟成を経たワインの複雑味に寄り添って、良い感じになりました。

料理とワイン2 10年の歳月と手間ひまをかけて熟成させたワイナリーのトップ・キュヴェ。こんな贈り物なら、相手を大切に想う気持ちや感謝の気持ちが、しっかりと伝えられるのではないかと思います。


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