イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.49 世界的にも注目ピノ・グリージョ
地中海性気候が育む果実味いきいき

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州の「オルネッラ・モロン」が手がける「オンブレ・ディ・ピエトラ ピノ・グリージョ 2020」をご紹介します。

オンブレ・ディ・ピエトラ ピノ・グリージョ 2020 都内では気の早い「夏日」を迎えたり、かと思えば初春の気温に逆戻りしたりと、気まぐれなお天気が続くなか、いよいよ大型連休に突入ですね。今回ご紹介するワインは、心浮き立つ初夏の日差しによく似合い、また、これからやってくる梅雨どきのジメッとした気候にも爽やかさをもたらす、そんな1本です。

  ブドウ品種は「ピノ・グリージョ」。フランスでは「ピノ・グリ」と呼ばれ、ピノ・ノワールの変異種といわれています。ブドウの皮は灰色がかったピンク色をしており、白ワインとして醸造されるのが一般的です。

ピノ・グリ 原産地はピノ・ノワールと同様にブルゴーニュで、イタリアには1800年代末に入ってきたといわれています。ブルゴーニュの高級ワイン用ブドウといえば、皆さんご存じのとおり、赤はピノ・ノワール、白はシャルドネ。むしろ、フランスでピノ・グリが有名な地域といえば、ドイツと国境を接するアルザス地方で、ドイツでは「グラウブルグンダー」の名称で白ブドウ栽培面積のうち第3位(2020年)を占めています。

 アルザスやドイツで高品質ワインが生み出されているのを承知の上で、私感を交えて申し上げると、「華やか」というよりも「控えめ」な印象のあるブドウでした。しかし、ここにきてピノ・グリが、がぜん盛り上がりをみせ、主役を張れるワインになっていることに注目です。

 アメリカのオレゴン州(赤白あわせた生産量のうち第2位、2019年)、オーストラリア(白ブドウ生産量で第3位、2020年)、ニュージーランド(白ブドウ生産量で第2位、2020年)など、ニューワールドでの躍進が目立ちます。実際、私の参加したワイン好きの集まりでも、アメリカのピノ・グリを持参した人に熱い視線が注がれていたのが忘れられません。

イメージ さて、そんな潮流を頭に入れて、開けてみました。淡い黄金色をしたワインから、柑橘類、青りんご、青いメロンや洋梨の香りが広がり、フレッシュで華やかな印象です。さらに、「オルネッラ・モロン」のブドウ畑のある環境―ピアーヴェ川からの沖積平野、石灰質で鉄分を多く含む土壌―がもたらすのでしょうか、火打石のようなミネラルの香りも印象的です。

 口に含むと、いきいきとしたフルーツの甘味、爽やかな柑橘系の酸味が広がり、厚みと穏やかな苦みが後味を引き締めます。ステンレスタンクで醸造され、フルーティーでクリーンな味わいに仕上げたワインには、油分を控えめにした軽やかな料理が良さそうです。

料理とワイン・サラダ 1品目は、タコとセロリ、白いんげん豆のサラダを。タコを大きめに切って主役にした地中海風のサラダは、セロリのシャキシャキ感、豆のほくほく感といった異なる食感を素直に楽しめるよう、白ワインビネガーとオリーブオイル、塩、コショウでシンプルに味付けました。

料理とワイン・ソテー 2品目には、ポークソテーにラディッシュとリンゴのソースを添えた一品を。ピノ・グリージョは、味わいに厚みがあるので、軽めのお肉料理にもマッチします。バターを使った重厚なソースよりも、軽やかなソースが今回のワインにはピッタリ。ローズマリーの香りを移しながらこんがり焼き上げた厚切りの豚肩ロース肉は、脂の甘味がワインのフルーツ感ときれいに響き合います。さらに、フルーツを使ってさっぱりと仕上げたソースが、一層、ワインに寄り添う決め手となりました。

 女性オーナーが手がけるワイナリーの1本は、スタイリッシュなエチケット、リーズナブルなお値段も魅力。連休中のお家飲みや気軽なホームパーティーの差し入れにもおすすめです。

 注目の「ピノ・グリージョ」、地中海の気候が育んだフルーティーな味わいをぜひ楽しんでみてください。

※本文中のデータは『日本ソムリエ協会 教本2022』を参照しました。


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