イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.54 イタリア最高峰品種に情熱込め
優雅でワイルドな官能的味わい

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ピエモンテ州の「リウッツィ」が手がける「ノイデュエ モンフェラート・ロッソ2014」をご紹介します。

ノイデュエ モンフェラート・ロッソ2014 ほんのりオレンジ色を帯び、紅茶のような、枯れ葉のような独特の香りをもち、口に含むと特徴的な辛口で、非常に長い余韻。北イタリアを中心に栽培される「ネッビオーロ」のワインに出会うたび、「ああ、ワインが飲めて幸せだなぁ」と心底思います。一筋縄ではいかない個性と優雅さの不思議な共存に、うっとりと魅了されてしまうのです。

 ネッビオーロのワインといえば、ピエモンテ州のDOCG「バローロ」とDOCG「バルバレスコ」が有名です。今回の「ノイデュエ」は、バローロやバルバレスコの地区ではなく、DOCG「バルベーラ・ダスティ」(バルベーラ90%以上の使用が規定)地区に生産地があります。そのため、ネッビオーロで造る「ノイデュエ」はDOC「モンフェラート・ロッソ」の扱いとなります。

 それだけに、生産者の「リウッツィ」の「“あえて”ネッビオーロのワインを造りたい」という情熱の込められた1本といえそうです。

セラー 果皮を漬け込む「スキン・コンタクト」による醸し発酵の後、「パンチング・ダウン」と「ポンピング・オーバー」を15日間かけて繰り返しながら醸造されます。これらはいずれも、アルコール発酵中に抽出を促すための伝統的な製法。その後、木樽で18カ月以上熟成されます。

 色調はややレンガ色を帯びた濃厚なダークチェリーレッドで、粘性が強く、凝縮感と熟成感を感じる外観です。木の葉や腐葉土、ヒノキなど、森の中を思わせる香りが心を鎮めてくれるようです。そのほか、バラの花びらやプルーン、シナモン、ヴァニラの芳香が立ちのぼり、華やかで深みのある印象です。

 口当たりはソフトで、あたたかみのある果実味が優しく舌を覆った後、絡みつくようなタンニンを感じ、後味は辛口。花のような香りを伴いながら、非常に長い余韻が続きます。

 ワイナリー外観 これだけ骨格のしっかりしたワインなら、赤身肉の煮込み料理など、重厚なテイストにもぴったりマッチするでしょう。森を連想させる香りから、キノコの料理を作ってみることにしました。ピエモンテは白トリュフの名産地でもあります。

 今回は、手軽に手に入る乾燥ポルチーニ茸を使い、クリームソースパスタを作りました。水で戻したポルチーニをバターで炒め、飴色に炒めたタマネギ、生ハム、パセリ、生クリームを加えて煮詰めます。ソースの絡みの良いショートパスタ・フジッリをたっぷりの塩を加えて茹で上げ、仕上げにパルミジャーノと塩コショウでシンプルに味付ければ完成です。

料理とワイン 一部を粗く刻み、戻し汁もソースに加えたポルチーニが、クリームソースにコクと芳醇な香りをプラスし、生ハムの塩気、タマネギの甘味もあいまって、味わいに広がりのある一皿になりました。パルミジャーノの熟成された塩味が、全体をまろやかにまとめ、ワイルドで優雅な持ち味のワインに、なめらかに寄り添うペアリングになりました。

 熟成を経た落ち着きの中に、ピエモンテの森の香りを秘め、よく熟れたフルーツや花々が匂い立つ、官能的なワイン。北イタリア古来の高級品種ネッビオーロの風格を存分に楽しめる1本です。


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