イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.55 花と果実とほんのり海の香り
地中海のヴェルメンティーノ

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、サルデーニャ州の「スラウ」が手がける「リミッツァーニ ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ 2021」をご紹介します。

リミッツァーニ ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ 2021 気まぐれなお天気と蒸し暑さが続いています。身体がジトッと汗ばむような日には、キリッと冷えた白ワインが恋しくなりますね。今回は、イタリア南部、リゾート地としても人気の高い、地中海に浮かぶ島サルデーニャから。「ヴェルメンティーノ」のワインです。

 「ヴェルメンティーノ」は海の近くの風通しの良い場所を好む品種で、DOCG「ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ」の地区は、州北東部の地中海沿岸域に広がっています。古生代の花崗岩が広範囲にわたって見られることが大きな特徴で、水はけがよく、土壌の養分が少ないために、自然に収量が抑えられ、凝縮したアロマのブドウが育ちます。

ブドウ 「スラウ」のワイナリーがあるのは、ティレニア海に面したアルツァケーナの街。DOCGのなかでも、より海岸に近いエリアで、海から吹き込む風によって、ミネラル豊かで力強いワインが生まれます。

 「レアーレカンティーナ」が扱っている、「スラウ」の「ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ」は3種類。遅摘みブドウを樽熟成させたリッチなタイプの「モンティディモラ」、澱の上で発酵(シュール・リー)させたまろやかな「シャーラ」、そしてこちらの「リミッツァーニ」です。

 「リミッツァーニ」が、いちばんフレッシュ&フルーティーで、ヴェルメンティーノのキャラクターを素直に楽しめるタイプです。

スラウのワイナリー グラスに注ぐと明るい麦わら色で、香りにはグレープフルーツや洋梨、甘く優しいリンゴの香りはカモミールの花のようなニュアンスで、ほんのり貝殻の香りも。口に含むとアタックは優しく、果実の甘味が広がり、グレープフルーツのような苦みを伴った酸味が口中を満たします。やわらかな味わいの中に、ミネラリーな塩味をかすかに感じる辛口で、魚介類との相性は間違いのないワインです。

 フレッシュなワインを引き立てる、素材の味わいを生かしたさっぱりとした料理がよさそうです。あまり火を使わずに、ササッと作れるものが、この時期には嬉しいですね。サーモンとレンズ豆のサラダを作りました。

料理とワイン お刺身用のサーモンにたっぷりの塩をまぶして冷蔵庫でしばらく休ませます。味付けには、先日いただいた採れたてのバジルで作っておいた、バジルペーストを生かしました。

 塩で味わいを凝縮させ、ふっくらとやわらかく、とろけるような脂の旨味が引き出されたサーモン。鮮烈で上品なバジルの芳香に、クルミ、パルメザンチーズ、ニンニクの風味が複雑に折り重なるバジルペーストが、さらにコクを与えます。南の地方ならではの、ふくよかな果実味と爽やかさをあわせ持ったワインが、料理を包み込み、いきいきと弾け、苦みを伴った心地よい余韻がしばらく続きます。

イメージ 暑さに火照った身体をスーッとクールダウンしてくれるような飲み心地の「ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ」。フルーツとフローラル、海の香りを閉じ込めたワインを片手に、夏休みのプランを練ってみるのもおすすめです。 

※参考文献:中川原まゆみ著『地図でわかるDOCGとDOC イタリアワイン産地ガイド』(ガイアブックス)


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