「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州の「オルネッラ・モロン」が手がける「オンブレ・ディ・ピエトラ ソーヴィニヨン2019」をご紹介します。
ソーヴィニヨン(ソーヴィニヨン・ブラン)はお好きですか? いきいきとした柑橘の香りと爽快な飲み心地が楽しめ、盛夏にぴったりなワインです。刈り立ての芝生のような青々とした香りが、ブラインド・テイスティングでは見分けるポイントになります。
原産地はフランスで、有名な生産地は仏ロワール地方とニュージーランドのマールボロ、ほかにはチリやオーストラリアなどでも盛んに栽培されています。
ニュージーランドでは、1980 年代から国をあげてソーヴィニヨン・ブランのワイン造りに取り組んできたため、全体のブドウ収穫量の7割以上を占め、さらにそのうちの7割以上がマールボロ地区で生産されている状況です。最近は多様化しているものの、トロピカルフルーツの香りが際立つ溌剌としたスタイルを思い浮かべる人が多いかもしれません。
いっぽうで、ロワールで造られるソーヴィニヨン・ブラン100%のワインは、ミネラリーな「AOCプイィ・ヒュメ」や、エレガントな「AOCサンセール」など、また違った味わいです。
ソーヴィニヨン・ブランに限った話ではありませんが、同じ品種でも、地域や造りによって味わいは多種多様。「自分の好みか、そうでないか」と結論を急がず、さまざまな出会いを楽しんでみると、素敵なワイン経験が待っているかもしれませんね。
さて、イタリアにも美味しいソーヴィニヨンがあります。フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州、ヴェネト州、ロンバルディア州、エミリア・ロマーニャ州など、イタリア北部へフランスから入ってきました。フリウリ州の「フリウリ・コッリ・オリエンターリ」や「フリウリ・イソンツォ」、ヴェネト州の「コッリ・ベリチ」など、ソーヴィニヨンの使用が認められているDOC(統制原産地呼称)ワインもあります。
今回のワイナリーは、ヴェネト州のヴェネツィア県とトレヴィーゾ県の間に位置する「オルネッラ・モロン」。ピアーヴェ川からの沖積平野にあり、鉄分を豊富に含む石灰質土壌に恵まれ、ワインにもミネラル感が反映されています。
ワインの色調はごく淡いレモンイエローで、香りにはグレープフルーツ、皮の苦みと粒々の果肉からほとばしる果汁をありありとイメージできるほど、はっきりと感じます。レモングラスやカモミールなどハーブのニュアンスも。
よく冷えた状態ではキリッとした酸味を感じ、やがて室温になじんでくると、果実の豊かな甘さが感じられます。喉ごしに苦みとほのかな塩味を感じ、パワフルな酸味が余韻に残ります。
ワインの香りにもリンクする、ハーブを使った料理と相性がいいソーヴィニヨン。魚によく合うタイムを使い、シンプルな真鯛のソテーを作りました。添えたのは、トマトのソテー・タイム風味。香ばしく焼いて、ソースを鯛に絡めながら味わうと、淡白な白身魚の旨味にトマトの風味が絡んで奥深い味わいになりました。溌剌としつつ、なめらかな風味のワインが、キリッと引き締めるような、包み込むようなペアリングです。
食欲増進が期待できるハーブを料理に効かせて、ソーヴィニヨンの爽やかな飲み心地をプラスすると、夏バテ気味でも美味しい食卓がととのいます。皆さんも、ぜひお試しになってみてください。
※本文中のデータは『日本ソムリエ協会 教本2022』を参照しました。
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