イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.59 トスカーナのロゼスパークリングと
北海道産山わさびのマリアージュ

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、トスカーナ州の「ヴァル・ディ・トロ」が手がける「キープ・イット・スパークリング ブリュットNV」をご紹介します。

キープ・イット・スパークリング ブリュットNV サーモンピンク色に、「キープ・イット・スパークリング」の頭文字を取った「KIS」の文字が浮かび上がる、ロゼスパークリング。手土産やお祝いの乾杯にもぴったりの、華やかなビジュアルです。

 この夏、「レアーレカンティーナ」に新入荷した注目の1本で、原料ブドウはイタリアで最もポピュラーな品種、サンジョヴェーゼ100%。スミレのようなエレガントな芳香、程よい酸味、タンニンのバランスに優れ、さらに澱とともに熟成させる「シュール・リー」の製法を用いることで、酵母の風味をワインに与え、奥行きのある味わいに仕上がっています。

ブドウ畑 スパークリングワインの甘辛度の目安は、打栓の前に加える“門出のリキュール”(原酒ワインに糖分を加えたもの)の添加によって決まります。加糖しないタイプも含め7段階に分けられ、こちらのワインは辛口から3番目の「ブリュット」のタイプです。

 グラスに注ぐと、きめ細かな泡が持続的に立ちのぼり、爽快なピンクグレープフルーツとチャーミングなイチゴの香りが漂います。口に含むと、キリリとした酸味が印象的な、フルーティーで溌剌とした中辛口。暑さに火照った身体に、涼しい風が吹き抜けるかのような軽快な飲み心地です。

 今回は、札幌の実家へ帰省するタイミングに合わせ、北海道食材とのペアリングを楽しんでみました。デパートや土産物店もいいですが、地域の生活に根差したスーパーマーケットは、手頃な地場食材の宝庫。近くのスーパーのチーズコーナーには、道内各地のチーズ工房の商品が充実していて、味わったことのないものを試すのが、毎年楽しみです。「スモークモッツアレラチーズ」という商品が、軽快かつ、赤ワインの要素も入ったコクのある「KIS」によく合いそうです。

材料 続いて目に留まったのが、フレンチドレッシング風のベースに北海道産山わさびと味噌を加えた「山わさびソース」。北海道に自生する山わさび(ホースラディッシュ)は、ローストビーフのほか、お刺身やジンギスカンに添えるのが道産子の定番ですが、ピリリと野趣あふれる風味が、ワインの酸味と響き合いそう。ほかには、無塩せきの生ハムと、朝採れのサラダミックス野菜をセレクト。

 すべての材料を合わせて、サラダを作りました。レタスだけでもサニーレタス、フリルレタス、グリーンカールと種類豊富で、苦みや甘味をグラデーションのように楽しめ、葉に厚みのあるシャキシャキとした食感に鮮度の良さを感じます。彩りを生かして大きめにカットしたオレンジ色のミニパプリカ、ミニトマト、ともに濃厚な甘さが、まるでフルーツのよう。

料理とワイン スモークの香りをまとった、ミルキーでモッチリとしたチーズと、脂の旨味と塩気が熟成した、まろやかな生ハム。どちらも最低限のシンプルな材料で作られているのが最高の贅沢ですね。そこへ山わさびソースがピリリと味わいを引き締め、食欲をそそる刺激とコクのおかげで、野菜をいくらでも食べられてしまいそう。

 ワインとともに味わうと、サンジョヴェーゼの果実味とシュール・リーの旨味を秘めたふくよかな味わいが、チーズや生ハムの熟成感をしっかりと受け止めてくれます。さらに、鼻に抜けるような山わさびソースの風味が重なると、泡立ちと酸味が倍増するかのよう。いっそう弾けるようなパワフルな飲み心地が楽しめ、気持ちを爽快にリフレッシュしてくれます。

 サラダやチーズ、シャルキュトリーなど火の使わないオードブルで軽やかに、夏の日差しのようにきらきらと輝くロゼスパークリングを、皆さんもぜひ楽しんでみてください。


「ヴァル・ディ・トロ」の「キープ・イット・スパークリング ブリュットNV」はこちら

生産者「ヴァル・ディ・トロ」の詳しいご紹介はこちら