イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.65 絶妙なブレンドと樽香が秋へ誘う
ポンカ土壌の銘醸地から魅惑の白

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の「ヴィーニャ・トラヴェルソ」が手がける「ソットカステロ・ビアンコ FCO 2019」をご紹介します。

ソットカステロ・ビアンコ FCO 2019 記録的な猛暑が続いた今年の夏。「キリッとよく冷えた白ワインが飲みたい」。そう感じる日が、例年よりも多かったのではないでしょうか。

 急に涼しくなり、ようやく秋の風を感じるこの頃、食卓の白ワインも秋らしく衣替え。そんな気分にぴったりなのが、今回ご紹介する「ソットカステロ・ビアンコ FCO 2019」です。

 白ワインの銘醸地として知られる、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州コッリ・オリエンターリ地区の造り手「ヴィーニャ・トラヴェルソ」が手がける白のなかでも、トップ・カテゴリーに位置するのがこちらの1本。シャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・グリージョ、リースリング、ソーヴィニヨン(・ブラン)など幅広い品種の使用が認められる、DOC「フリウリ・コッリ・オリエンターリ(・ビアンコ)」に位置付けられます。

ブドウ畑 この地区が良質なワインを生み出す理由のひとつは、「ポンカ」と呼ばれる土壌にあります。石灰性粘土と砂質石灰岩が交互に層を成す土壌のことで、ブドウにいきいきとした風味を与えてきました。さらに、「トラヴェルソ」のワイナリーのあるプレポットは、周囲に広がる森が暑さや寒さを中和するために穏やかな気候で、適度に吹き込む風が湿度を最適に保ってくれ、ブドウ栽培に好条件を備えています。

 その中でも特に水はけのよい土壌で育ったシャルドネとソーヴィニヨンを使用。バリックでマロラクティック発酵ののち6カ月熟成され、熟成中のワインを棒で撹拌するバトナージュという伝統的な製法を用いながら、しっかりと味わいが引き出されます。

木樽 味わうときは、冷やし過ぎず、大きめのグラスで楽しむのがおすすめです。色調は明るいレモンイエローで、リンゴやグレープフルーツ、蜂蜜、アーモンドの香りが広がります。アタックはドライで、グレープフルーツの断面を思わせる透明感のある果実味が口の中に広がり、旨味を伴った苦みと樽熟成のほのかな香ばしさが、しっかりと支えるような味わい。ボリューム感のある飲み心地で、いきいきとした酸味が美しい余韻となって舌に残ります。

 骨格のしっかりとした白ワインなので、魚介類はもとより、お肉料理とも好相性です。料理も、夏らしいさっぱりした味わいのものから、少しコクのあるものにシフトしてみましょう。豚肉をミルクで煮込んだ一皿を作りました。

 厚切りのロース肉にこんがりと焼き色を付けた後、セージとローズマリーを加えた牛乳で短時間煮込みます。ワインの印象や豚肉との相性も考えて、ソテーした紅玉を添えて季節感を演出してみました。

料理とワイン 引き締まった肉質の中に甘味を感じる豚肉は、ミルキーな風味が重なって、さらにまろやかな味わいに。ハーブの香りと塩味の溶け込んだミルクのソースがゴルゴンゾーラにどこか似ていて、淡白な豚肉が一層ワインに合う一皿へ昇格しました。シャリシャリとした食感と爽やかな酸味の紅玉りんごが、アクセントを添えます。

 表情ゆたかな料理に合わせると、「ソットカステロ・ビアンコ」の上質なシャルドネを樽熟成したアーモンドの香りや、ソーヴィニヨンの品種由来のグリーンハーブの香りが次々と膨らみ、全体に調和しながら多彩な、優しい色使いで仕上げた絵画のようなペアリングになりました。

 皆さんも「ソットカステロ・ビアンコ」を秋の始まりの白ワインとして、美味しい食材と自由な発想で思い切り楽しんでみてください。


「ヴィーニャ・トラヴェルソ」の「ソットカステロ・ビアンコ FCO 2019」はこちら

生産者「ヴィーニャ・トラヴェルソ」の詳しいご紹介はこちら