イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.64 海の幸たっぷりパスタも引き立つ
黄色いリンゴの爽快な飲み心地

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ロンバルディア州の「マイオリーニ」が手がける「フランチャコルタ・ブリュットNV」をご紹介します。

フランチャコルタ・ブリュットNV※現在、上の写真の「Mラベル」はご好評につき終売、ラベル仕様を変更した同商品の販売となります。

 “イタリアのシャンパーニュ”とも呼ばれる、フランチャコルタ。その誕生は、1961年と新しいにもかかわらず、世界的な人気を集めています。1995年にはイタリアワインの格付け最上級のDOCG(統制保証原産地呼称)に昇格。ファッションの都市ミラノを擁するロンバルディア州に産地があることからも、“スタイリッシュなスパークリングワイン”というイメージがありますね。

 実際、現地のワイナリーを写真で見ると、期待を裏切らないお洒落さに、目が釘付けに。モダンな建築に、洗練されたテイスティングルームや客室を備えたワイナリーも多く、周囲のゆたかな自然、美食とともに、いつか思い切り満喫してみたいものです。

ワイナリーとブドウ畑 フランチャコルタの産地は、イゼオ湖の南側に放射線状に広がり、生産者は120軒ほどと希少です。なかでも、レアーレカンティーナの担当者が、イタリア訪問のたびに訪れるほど魅了されているワイナリーが「マイオリーニ」。日本の雑誌のフランチャコルタ特集にも登場するような評価の高い造り手で、ミラノから100キロほど離れた「オーメ」という小さな街にあります。

 フランチャコルタ生産域の東側に位置し、「メドーロ」と呼ばれる純粋石灰岩質の土壌が、ブドウにいきいきとしたミネラル感を与えます。この土壌のもとワインを造る生産者はマイオリーニのほか、わずかに12軒のみと極めて希少です。

セラー風景① 現地で撮り下ろした写真を観ながら、セラーに入ってみましょう。ドレスをまとったワインボトルが迎えてくれ、まるで美術館のようにアーティスティックな空間です。ワイナリーは「メドーロ」を切り出して造られたもので、壁の一部には岩肌が顔をのぞかせます。マイオリーニ家は、オーメの街が誕生した15世紀から地域に根差し、この地で試行錯誤されてきたフランチャコルタの生産を見守ってきました。

 そんなマイオリーニのフランチャコルタには、ブドウ品種や補糖量の違いにより、いくつかのタイプがあります。こちらは、シャルドネ90%、ピノ・ネーロ(ピノ・ノワール)10%、残糖度は1リットル中12g以下の中辛口「ブリュット」のタイプ。果汁の一部を樽熟成させ、シャンパーニュ由来の酵母とともに30カ月以上の瓶内二次発酵を経ています。

セラー風景② 色調は明るいイエローゴールドで、非常にきめ細かで持続性の高い泡立ちがあります。香りで際立っているのが、ラベルのカラーともリンクする黄色いリンゴ、ほかには、グレープフルーツ、レモングラス、貝殻など。爽やかでミネラルに富んだ印象。口に含むと、酸が非常にゆたかでパワフル、ナッツのような香ばしい風味もあり、余韻がとても長いワインです。

 キレの良さと重厚感が、濃厚な魚介料理にも引き合うと感じ、北イタリアでよく食べられるという「海の幸のラグーソース」のパスタを、ホタテ、ヤリイカ、エビ、アサリで作ってみました。ニンニクの香りを立てて魚介を炒め、白ワイン、アサリのブイヨン、ローリエ、パセリの茎、ソフリット(香味野菜を炒めたベース)も加えてコトコト煮詰めていきます。

料理とワイン いい匂いが漂って、わが家のダイニングがまるでイタリアのトラットリアのよう。魚介のエキスがギュッと凝縮したソースに、トマトの酸味が加わり、濃厚な旨みたっぷりのパスタが完成しました。ワインを口に含むと、柑橘系の溌溂とした風味が泡とともにいきいきと弾け、またひと口とパスタが進みます。

 前菜類や、軽めの魚介料理だけでなく、今回のような濃厚な料理にも寄り添う、力強く奥行きのある飲み心地が魅力。「メドーロ」が育んだブドウが長期熟成でゆっくり変化した芳醇な味わいを、ぜひ堪能してみてください。


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