イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.82 甘酸っぱい果実味と弾む酸
心くすぐるヴェネトのメルロー

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州「デリボリ」の「メルロー トレベネジー 2021」をご紹介します。

メルロー トレベネジー 2021 ヴェネト州のヴェローナ県にある「デリボリ」のワイナリー。「ロミオとジュリエット」の舞台でもあり、国際ワイン見本市「ヴィーニタリー」が開催されるヴェローナで、伝統的なワイン造りを手がけてきた生産者です。

 日本でもファンの多い「ソアヴェ」や「ヴァルポリチェッラ」をはじめ、「ルガーナ」、「クストーザ」、「バルドリーノ」など、土着品種を用いたDOC・DOCGワインを中心に発信しながら、古くからの銘醸地を守ってきました。

ブドウ畑イメージ

 さて、改めての話になりますが、イタリアワイン法では、ワインの格付けに3段階があり、「保護原産地呼称ワイン」(DOC・DOCGを合わせたDOP)、「保護地理表示ワイン」(IGPまたはIGT)、その他のワイン「Vino」に分けられています。

 今回の「トレベネジー」は、ヴェネト州のIGPのひとつ。IGPは、DOCやDOCGに比べ、収穫エリアやブドウ品種、ワインのタイプ(白、赤、泡ほか)などの規制が緩やかなので、ルールに縛られずに、ワインの味わいを追求できるのが利点といえます。

 レアーレカンティーナで現在扱っている、デリボリの「トレベネジー」はシャルドネ、カベルネ・ソービニヨン、そしてメルローで、国際品種のイタリアならではの味わいが楽しめるラインナップです。

ブドウ

 メルローは、サンジョヴェーゼ、モンテプルチアーノに次いで、イタリア国内の黒ブドウ栽培面積の第3位。イタリアでも人気の高い品種です。こちらのワインは、ステンレスタンクで発酵させた、いきいきとフルーティーな味わいが魅力です。

 グラスに注ぐと、明るくやや落ち着いた色調のルビー色で、よく熟れたラズベリーやイチゴのような赤いベリーの香りが鮮烈です。また、そういったベリー類をチョコレートでコーティングしたお菓子を連想させる、ココアっぽい香りもあります。かすかに漂う、レモングラスのようなグリーンのニュアンスが複雑な表情を見せ、ワインの香りをいっそう魅惑的にしています。

 口に含むと、アタックはやわらかで軽やか。みずみずしい果実味、豊かな酸、タンニンとほろ苦さがバランスよく調和したワインです。アルコールは12.5%と赤ワインにしてはやや軽め。

料理とワイン 甘酸っぱいベリー系の風味から連想して、チキンのバルサミコソテーに合わせてみました。鶏もも肉は塩胡椒をして香ばしくソテーし、フライパンの余分な油を除いて、バルサミコ酢を絡ませながら水分を飛ばし、ハーブソルトで仕上げ。びっくりするほど簡単ですが、バルサミコの甘味が絡んだ鶏肉は、照り焼きに近い要素もあって親しみやすく、かつ酸味が効いて上品な味わいです。バルサミコをまとった、ふっくらジューシーな鶏肉が口いっぱいに幸せをもたらし、ワインの弾むような酸といきいきとした果実味がいっそう引き立ちます。

 お花見シーズンが始まり、行楽の予定のある皆様にも、ぜひおすすめしたい1本。スクリューキャップで持ち運びやすく、和洋中などバラエティ豊かに揃う持ち寄りの料理にも幅広く対応できるので、喜ばれること請け合いです。



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