イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.84 注目の産地・プーリアから
風土が香るフローラルな白

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、プーリア州の「ジュスティーニ」が手がける「フリーダ ビアンコ2022」をご紹介します。

フリーダ ビアンコ2022 ピンクのハートにバラのような花が描かれた、可愛らしいエチケットが目を引きますね。そのビジュアルによく似合う、花と果実のアロマ豊かな白ワインは、5月の母の日や大切な人への贈り物にも喜ばれる1本です。

 ワイナリーは、イタリアのブーツの「かかと」に位置するプーリア州で2005年に設立された「ジュスティーニ」。前回に続き今回も、「レアーレカンティーナ」がこの春から扱うニューフェイスです。

ワイナリー アドリア海とターラント湾に臨む長い海岸線を持ち、広い平野と温暖な気候に恵まれたプーリア州。ギリシャ、ローマ、ビザンチンなど、さまざまな文明の支配下のもと独自の文化が形づくられ、ブドウ栽培とワイン造りの歴史は紀元前までさかのぼります。

 にもかかわらず、安定した収量が得られるゆえに、イタリア各地へのブドウの供給や、ヨーロッパ各国へのバルクワイン(150リットル以上のタンクに詰めて輸送される安価なワイン)の提供をする存在として、「質より量」のイメージが強まっていました。

 しかし近年は、生産者たちの努力で高品質なワイン造りへと転換。恵まれた気候条件と古くから根付いた種類豊富な土着ブドウ、そのポテンシャルを最大限に生かした、プーリアのワインに注目が集まっています。

 「ジュスティーニ」は、地中海に突き出したサレント半島に位置。十分な日照量と半島を吹き抜ける風、粘土と砂に貝殻の化石が混じった土壌が、フルーティーでいきいきとしたブドウを育みます。そんなテロワールに敬意を払いながら、プーリア土着のプリミティーボやネグロアマーロ、希少品種のススマニエッロ、南イタリア特有のフィアーノほか、この地ならではのブドウを中心にワイン造りを手がけています。

ブドウ畑 「フリーダ ビアンコ2022」は、フィアーノとマルヴァジアをブレンド。フィアーノは、プーリア州の西側に隣接するカンパーニア州をはじめ南イタリアで栽培されるブドウで、白い花のようなフローラルの香りをもちます。マルヴァジアはイタリア各地で栽培されますが、地域により種類が少しずつ異なり、プーリアのものは旨味を含み、酸のバランスも良いとされています。

 ワインの色調は明るい黄金色で、アカシアの花、白桃、パイナップル、レモングラスのようなハーブの香りに、かすかに貝殻のニュアンスも入り混じります。飲み口は、甘味がとても豊かでフルーティー、次第に、いきいきとした酸とほのかな苦みが口に広がり、旨味を感じる後味です。

 イタリア料理店でサーヴされる、彩豊かな前菜盛り合わせが大好きなのですが、華やかなワインの香りにうきうきしながら、自分でも真似してみました。

ワインと料理 鯛のカルパッチョは、あえて酸味を加えずオリーブオイルと塩を添え、ピンクペッパーとイチゴで可愛らしく。脂ののった鯛の旨味に、イチゴの酸味が加わり、上品な味わいに。ワインの果実味が素直に際立ちます。

 塩を振ってしばらく置き、酢でしめたアジには、玉ねぎ、オリーブ、ケイパーをプラスしてサラダ仕立てに。酸味の強い料理は、ワインとの組み合わせがなかなか難しく感じますが、このワインはぴったりでした。ワインの酸味が際立ち、甘味も料理の味わいを邪魔せず、料理とワインが互いを引き立てるペアリングに。

 定番のポテトサラダに春を告げるそら豆を加えると、青々とした風味がワインのハーブっぽい香りとリンクします。ピラフにパルミジャーノを混ぜてボール状にし、カリッと揚げたアランチーニ風(シチリアのライスコロッケ)のおつまみは、なかなかの出来栄えでしたが、このワインの持ち味がいまひとつ引き出されないように感じてしまいました。

イメージ 試行錯誤も楽しみのひとつ。今回のナンバーワンは、アジのサラダでした。春に旬を迎える魚介類に、春野菜にくだもの。この季節ならではの美味しい食材と、心浮き立つ白ワインとのペアリングを楽しんでみてはいかがでしょう?


参考文献:『日本ソムリエ協会 教本2023』


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