「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、プーリア州の「ジュスティーニ」が手がける「フリーダ ビアンコ2022」をご紹介します。
ワイナリーは、イタリアのブーツの「かかと」に位置するプーリア州で2005年に設立された「ジュスティーニ」。前回に続き今回も、「レアーレカンティーナ」がこの春から扱うニューフェイスです。
にもかかわらず、安定した収量が得られるゆえに、イタリア各地へのブドウの供給や、ヨーロッパ各国へのバルクワイン(150リットル以上のタンクに詰めて輸送される安価なワイン)の提供をする存在として、「質より量」のイメージが強まっていました。
しかし近年は、生産者たちの努力で高品質なワイン造りへと転換。恵まれた気候条件と古くから根付いた種類豊富な土着ブドウ、そのポテンシャルを最大限に生かした、プーリアのワインに注目が集まっています。
「ジュスティーニ」は、地中海に突き出したサレント半島に位置。十分な日照量と半島を吹き抜ける風、粘土と砂に貝殻の化石が混じった土壌が、フルーティーでいきいきとしたブドウを育みます。そんなテロワールに敬意を払いながら、プーリア土着のプリミティーボやネグロアマーロ、希少品種のススマニエッロ、南イタリア特有のフィアーノほか、この地ならではのブドウを中心にワイン造りを手がけています。
ワインの色調は明るい黄金色で、アカシアの花、白桃、パイナップル、レモングラスのようなハーブの香りに、かすかに貝殻のニュアンスも入り混じります。飲み口は、甘味がとても豊かでフルーティー、次第に、いきいきとした酸とほのかな苦みが口に広がり、旨味を感じる後味です。
イタリア料理店でサーヴされる、彩豊かな前菜盛り合わせが大好きなのですが、華やかなワインの香りにうきうきしながら、自分でも真似してみました。
塩を振ってしばらく置き、酢でしめたアジには、玉ねぎ、オリーブ、ケイパーをプラスしてサラダ仕立てに。酸味の強い料理は、ワインとの組み合わせがなかなか難しく感じますが、このワインはぴったりでした。ワインの酸味が際立ち、甘味も料理の味わいを邪魔せず、料理とワインが互いを引き立てるペアリングに。
定番のポテトサラダに春を告げるそら豆を加えると、青々とした風味がワインのハーブっぽい香りとリンクします。ピラフにパルミジャーノを混ぜてボール状にし、カリッと揚げたアランチーニ風(シチリアのライスコロッケ)のおつまみは、なかなかの出来栄えでしたが、このワインの持ち味がいまひとつ引き出されないように感じてしまいました。