「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、トスカーナ州の「アマンティス」が手がける「ゴーギ2018」をご紹介します。
父の日にワインを贈ろうとお考えのかた、こんなチャーミングなラベルの赤ワインはいかがでしょうか? 親子3人で経営する「アマンティス」の息子ヤコポが、子どものころに持っていたクマのぬいぐるみの愛称から「ゴーギ」と名づけられました。よく熟したベリーを思わせる濃厚な果実感、タンニンもしっかりとあり、飲みごたえのあるワインです。
私は以前、百貨店などのワイン売り場に立って試飲販売の仕事をしていましたが、この時期になると「父の日にワインを贈りたいのですが」というご相談をよく受けました。ワイン好きのお父さんに「とっておきの1本」を選ぶなら、味わいが好みに合うのはもちろん、造り手のストーリーや思いを一緒にプレゼントすると、とっても喜ばれると思います。
イタリアのワインで、とくに一定以上の世代の方々から強い関心を集めるのが、「スーパータスカン(トスカーナ)」です。これは地域や銘柄の名前ではなく、イタリア品種や格付けにこだわらず自由な発想で美味しさを追求するトスカーナワインの呼び名です。1970年代にカベルネ・ソーヴィニヨン主体の「サッシカイア」が国際的な高評価を得たことが先駆けとなってムーブメントが広がり、世界で注目されました。
イタリアワインに革新をもたらし、いまなお先端をいくトスカーナ州にあって、アマンティスの「ゴーギ」も、この地域ならではのサンジョヴェーゼを約6割にボルドー系品種のメルローを3割、そのほか、フランス系、イタリア系あわせて3品種を少しずつブレンドしたユニークなワインです。
この地・モンタルチーノは、長期熟成赤ワインDOCG「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の成功から有名産地となり、その創始者となったのが「ビオンディ・サンティ」です。「アマンティス」の醸造を担う父親のパオロ氏は、こちらで醸造長を務め、ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーで世界第2位に選ばれた経歴をもつほどの名醸造家。イタリア品種、国際品種問わず、その手腕を発揮し、「ゴーギ」では熟成にアンフォラ(素焼き壺)を使って果実味を引き出します。アンフォラは木樽のように通気性がよいため、ワインにわずかな酸素を取り込んでまろやかに醸しつつ、樽香をつけずにピュアでフルーティーな味わいを閉じ込められるのが特徴です。
グラスに注ぐと、よく熟したラズベリーやブルーベリーの甘酸っぱい香りが広がり、スギの木、ナツメグ、シナモンの香りもあります。口に含むと、果実の凝縮感とほのかな苦味を感じ、飲み干すときにタンニンと酸がしっかりと主張します。
自家製レバーペーストをおつまみにしました。トロリとした濃い旨みを、ワインのピリッとした酸味・苦みが引き立て、ガーリックトーストに添えていくらでも食べられてしまいそう。お店みたいな味わいに感動のレシピを、ちょっとご紹介しましょう。
鶏レバーをきれいに洗って余分な脂を取り除き、スライスしたタマネギ、ニンニクと炒めます。白ワインをひたひたに注いでローリエを入れ、半量まで煮詰めたら塩・コショウで味付けて冷まし、オリーブオイルを加えてフードプロセッサーにかけます。オイルはお好みの加減でなめらかなペースト状に仕上げ、塩はしっかりと効かせるのがコツ。ちょっといい塩を使うのがおすすめで、私はフランスのゲランドやカマルグのほか、旅先で見つけた国産のご当地塩を愛用しており、最近では、お土産にいただいた小笠原の塩の深い旨みに感動しています。
ワイン好きなお父さん、ぜひご自身で腕をふるってお料理も楽しんでみてはいかがでしょう?
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