「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、トスカーナ州の「アマンティス」が手がける「アマンティス・リゼルヴァ2016」をご紹介します。
イタリアで最大の栽培量を誇るのが、赤ワイン用ブドウのサンジョヴェーゼです。その中心地は、中部イタリアのトスカーナ州。この地で生み出されるサンジョヴェーゼの赤ワイン「キャンティ」は知名度抜群の銘柄でしょう。
「キャンティ」が世界的に有名になった理由として、イタリアワインの中でも歴史が古く、中世からワイン造りが始まったこと、生産地域がトスカーナ中心部の6つの県にまたがり、生産量が非常に多いことなどが挙げられます。
また、日本では1980年代にブームが起こり、藁に包まれた丸いボトルが大量流通しました。バブル期のいわゆる「イタ飯ブーム」と相まって、一定以上の世代には鮮明に記憶されているようです。
さて、「キャンティ」の話が長くなりましたが、ここでお伝えしたいのは、トスカーナ州には、サンジョヴェーゼを使った素晴らしいワインが、キャンティの他にもたくさんある、ということです。
キャンティの南にある、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」はサンジョヴェーゼのクローン品種「ブルネッロ」を使った、ワインファン垂涎の高級ワインの生産地です。さらに南にあるのが、今回ご紹介する「モンテクッコ・サンジョヴェーゼ」。いずれも、イタリアワイン格付け最高ランクのDOCG(統制保証原産地呼称)に認定されるエリアです。
「アマンティス」のブドウ畑は、モンタルチーノに隣接するモンテネッロにあり、粘土質の土壌が、エキス分に富んだサンジョヴェーゼを育みます。ワイナリーのトップ・キュヴェである、このワインには、なかでも選りすぐりのブドウを使用。フレンチオーク大樽で3週間のマセラシオン(醸し)をおこなった後、樽で20カ月、ボトルで最低18カ月熟成されます。
グラスに注いでみると、明るく濃厚なルビーレッドの色調で、初めに感じるのは、スミレの花、プラム、アメリカンチェリーなどよく熟れたフルーツの香り。しだいに、ローズマリー、甘草、松、バニラなど複雑な香りが現れます。
ひと口含むと、果実の甘味が口中を満たし、その後は濃密なタンニンとくっきりと澄んだ酸が舌を覆うように広がっていきます。果実味、酸味、苦みがヴィロードのようになめらかに溶けあい、喉が温まるようなボリューム感のある飲み心地です。
お料理にも、ワインに負けない力強さが欲しいところ。重厚感のあるビーフシチューを合わせてみました。牛肉の中では比較的お手頃価格の「すね肉」は、圧力鍋でやわらかく下ごしらえすれば、とろけるような食感に。たっぷりのタマネギ、セロリ、ニンジン、ニンニク、ハーブとともに赤ワインで1時間以上煮込み、野菜は取り出して、付け合わせ野菜を新たに添える、ちょっと贅沢なシチューです。
ナイフを入れるとほろほろと崩れるほど煮込んだ牛肉の旨味が溶け込んだシチューに、ワインの苦みとタンニン、ハーブ、スパイスの香りが同じニュアンスで寄り添います。さらに、その味わいをコーティングするように、濃密でフルーティーな風味が華やかに匂い立ち、長い余韻が幸福感をもたらします。
ワイナリーのトレードマーク「ハート」のラベルは、ホワイトデーや記念日の贈り物にもいいですね。長期熟成のエレガントなサンジョヴェーゼが、特別な日の食卓を魅惑的な芳香で盛り上げてくれるはずです。
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