「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州の「オルネッラ・モロン」が手がける「マラノッテ2012」をご紹介します。
丹精込めて造られたワインは、エチケット(ラベル)にも造り手の世界観が表現されていて、その絵柄や色味を眺めながら、味わいを想像するのも楽しいですよね。
“ひと目惚れ”してしまったのが、今回ご紹介する「オルネッラ・モロン」のエチケットです。第14回、第17回でもご紹介しており、うっとりとした女性の表情や、ブドウ蔓の曲線がなんとも優雅な印象。
今回の「マラノッテ」は、黒をベースに輝きのあるオレンジがシックな雰囲気です。同じデザインの外箱付きで、手に取ったときからワクワク、こんな洗練されたパッケージなら、プレゼントにも喜ばれそうですね。
注目したいのが、オレンジ色の蝋(ろう)キャップ。コルクの上からさらに蝋で密閉することにより気密性が高まるので、長期熟成や酸化防止を目的にする生産者が多いようです。それだけ手間をかけたワインであるともいえます。
外見の優美なイメージは、まさにワインの造りと味わいに通じています。2011年に認定されたDOCG「ピアーヴェ・マラノッテ」の規定を満たし、イタリアワイン格付け最高ランクとして、また、ワイナリーのフラッグシップワインとしての風格をもつ1本です。
DOCG「ピアーヴェ・マラノッテ」は、ヴェネト州東部の在来品種「ラボーソ」を主体に、一部陰干ししたブドウを使用し、36カ月(うち木樽12カ月)の長期熟成が義務付けられています。こちらのワインは、手摘み収穫したブドウのうち15%を45日間陰干し、樽熟成のべ36カ月、瓶内熟成12カ月を経た超長期熟成のタイプです。
グラスに注いでみると、深みのあるダークチェリーレッドの色調で、ブルーベリーやカシスの黒系果実に、どこか山ブドウのような甘酸っぱいワイルドな香りが入り混じります。アニス、シナモン、クローヴ、干し草、カカオなど、スパイシーで非常に深みのある印象です。
口に含むと、アタックはビロードのようになめらか。しっかりとしたタンニンが凝縮した果実味としなやかに調和、膨らみのある酸とビターな後味を感じ、力強くかつエレガントな味わいです。
さて、お料理は、和牛ひき肉のラグーソースを添えた手打ちタリアテッレを作ってみました。
シンプルな手打ちパスタの基本は、強力粉100グラムに対して全卵1個。麺台にこんもりのせた強力粉の真ん中にくぼみを作って卵を割り入れ、決壊しないよう中心部からフォークで混ぜ合わせていくのが、砂場遊びのようで楽しい作業です。
ひとまとめにした生地を落ち着かせてから薄くのばし、幅広に切り揃えます。パスタマシーンを使うとラクラク。
牛ひき肉は、セージ、ローズマリー、ローリエの香りを移したオイルで、旨味を閉じ込めるようにカリッと炒め、ソフリット(香味野菜のベース)、少量の小麦粉、赤ワイン、ブイヨン、ホールトマトを加え、1時間ほど煮込みます。
牛ひき肉の旨味と脂身、野菜の風味が溶け込んだソースに、トロリと甘い赤ネギを合わせてパスタに添えました。ソースの仕上げにはバターとパルミジャーノをたっぷりと。タンニンが力強く、熟成されて密度の高い味わいのワインが、濃厚なパスタにしっかりと寄り添います。ワインのもつ、スパイスの香りと酸のおかげで、重厚になりすぎず、華やかで深みのあるペアリングになりました。
「オルネッラ・モロン」は、ヴェネツィアの名門貴族ジュスティニアン家が所有していた農園に起源をもつワイナリーです。当時の洋館を維持しながら受け継がれてきた伝統と、なめらかなワインの中に香り立つ在来品種のワイルドな芳香。優美と野趣の調和を、ぜひ食卓で楽しんでみてください。
オルネッラ・モロンの「マラノッテ2012」はこちら
生産者「オルネッラ・モロン」の詳しいご紹介はこちら