「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、トスカーナ州の「カロッビオ」が手がける「ピルーカ・ピノ・ビアンコ 2021」をご紹介します。
前回に引き続き今回も、この夏、「レアーレカンティーナ」に新入荷した注目のワインをご紹介します。このワインが手元に届いたとき、「おや、カロッビオの白ワイン!?」と意外性と期待感でワクワクしてしまいました。
というのも、「カロッビオ」は、トスカーナが誇るDOCG赤ワイン「キャンティ」の名手で、ビロードのようにとけ込んだタンニン、なめらかで心地よい熟成感が、忘れがたい余韻を残していたからです。
ワイナリーが位置するのは、キャンティ地区の中央、ブルゴーニュの「コート・ドール」を思わせる銘醸地、その名も「コンカ・ドーロ(黄金の丘陵)」。南西向きの斜面は、十分な日照、昼夜の寒暖差の大きい気候、保水力に優れた土壌と、非常に恵まれた環境です。
この畑から手摘みしたピノ・ビアンコ100%で造られる白ワイン。ステンレスタンクで発酵後、フレンチオークのバリックで4~6か月熟成後、さらに瓶内熟成してリリースされます。
ピノ・ビアンコは、アロマゆたかなボディ感のあるワインを生み出すブドウで、酸のバランスがよく、熟成にも向く品種です。イタリアへ伝わったのは、ピノ・ビアンコ、ピノ・グリージョ、ピノ・ネーロの「ピノ種」いずれも、18世紀から19世紀ごろ。フランスをはじめとする隣接する国からもたらされ、栽培範囲は、イタリア北部から、しだいに中部、南部へと拡大していったそうです。
グラスに注いでみると、明るく輝きのある麦わら色で、白桃やリンゴの香りが広がります。樽の香りは強すぎず、室温になじんでくるとヘーゼルナッツのような香りが現れます。
口に含むと、いきいきとした酸味が際立ち、黄色いリンゴのシャキシャキとした食感を思わせるフレッシュな果実味、ほのかに香ばしい樽のニュアンスが後味に続きます。キレの良い酸が、樽熟成を経て円みを帯び、なお溌剌とした飲み心地が楽しめます。
キンキンに冷やすよりも、少し室温に置いてからのほうが、このワインの持ち味が引き出されるように感じました。大きめのグラスで、芳しいアロマと、やわらかな酸味を楽しむのもおすすめです。
料理は、魚介類、なかでも味わいや調理法に深みのあるものがよさそうです。殻付きの有頭エビを背開きして焼き、白ワインをまぶし、市販のフュメ・ド・ポワソンとさいの目に切ったトマトを加えた一皿に合わせてみました。
濃厚なエビの旨味に、ブイヨンとトマトの風味が重なり、仕上げにたらしたレモンオイルがきりりと輪郭を引き締めます。たっぷり添えたセルフィーユは、芳しく、どこかオリエンタルな香りで、エビの味わいを上品に引き立てる大事な役目に。
料理に続いてワインを味わうと、舌をくすぐるような酸味が心地よく、果実味はいっそう力強く、ライチのような厚みのある甘味まで感じられます。濃密な魚介料理とあいまって、ワインのボリューム感が増していくようなイメージです。
近代的なセラーで、樽熟成の達人が手がける白ワイン。程よい熟成感とまろやかな飲み心地は、“キリッとしたワイン&さっぱりとした料理”の夏バージョンから“食欲の秋”へ、そろそろシフトしていく時期にふさわしい一本です。ぜひ、じっくりと楽しんでみてください。
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