「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、トスカーナ州の「アマンティス」が手がける「イペリオーネ 2016」をご紹介します。
9月になりました。まだまだ暑い日が続きますが、暦の上では秋。青果店には艶やかなブドウが色とりどりに並び、イチジク、プルーンなど秋色のフルーツにうっとりと魅せられます。
今回ご紹介するのは、待ち遠しい秋の気分にぴったりな、長期樽熟成の赤ワインです。良年のみリリースされるプレステージ・ワインで、カベルネ・フラン100%を原料に造られています。
アマンティスのワイナリーがあるのは、トスカーナのモンタルチーノ。長期熟成赤ワインDOCG「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」で有名になった土地で、伝説的な造り手「ビオンディ・サンティ」が誕生しました。その醸造長を務め、ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーで世界第2位に選ばれた経歴をもつパオロ氏が、アマンティスの醸造を担っています。
手がけるワインは、DOCG「モンテクッコ・サンジョヴェーゼ」、DOCG「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」などのほか、今回のような、いわゆる「スーパータスカン(トスカーナ)」です。イタリア品種や格付けにこだわらず自由な発想で造られた上質なトスカーナワインの呼び名で、1970年代にカベルネ・ソーヴィニヨン主体の「サッシカイア」からムーブメントが広がりました。
このワインは、フレンチオーク樽で3週間のマセラシオン(醸し)の後、24カ月の熟成、さらに瓶内で24カ月の熟成を経てリリースされます。ヴィンテージは2016年なので、さらに熟成が進んで、とてもエレガントな飲み心地が楽しめます。
香りは、カシスやイチジク、枯れ葉、ビターチョコレート、ビーフジャーキーと多層的です。カベルネ・フランは、カベルネ・ソーヴィニヨンに比べ、やわらかでタンニンが少ない品種といわれます。長期熟成を経て、凝縮感はしっかりとしており、舌にのせたときのニュアンスはビロードのように厚みがあってなめらか。果実の甘味は突出するのではなく、辛口で旨味のある味わいに溶け込み、後味に膨らむベリー系の酸味が上品なフィニッシュに導いてくれます。
グリルした牛肉によく合いそうですが、今回は普段着のメニューで豚スペアリブを合わせてみることにしました。ポイントは、赤ワインと紅茶でコンポートにしたドライプルーン。ソース代わりに添えて、お肉と一緒にいただきます。
脂身のしっかりとしたスペアリブを、じわじわとコーティングするように、濃密なワインがぴたっと寄り添います。シナモンで香りを付けたプルーンのコンポートは、ねっとりとした甘さにスパイシーで深みのあるフレーバーが大人の表情。スペアリブ、プルーンを一緒に味わうと、ワインのビターチョコレートのような風味が際立って感じられます。
伝統ワインを受け継ぎながら、つねに革新を忘れないのが、トスカーナの魅力といわれます。よく熟れたベリーの香りが、熟成によりいっそう魅惑的に花開いた、トスカーナ発カベルネ・フランの赤ワインをじっくりと楽しんでみてください。
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