イタリアワインの魅力をお伝えします読むワイン

Vol.73 良年ならではのキレとボディ感!
新年を彩るスター的スプマンテ

 「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ロンバルディア州の「マイオリーニ」が手がける「フランチャコルタ・ブリュット・ミレジマート・エレクト 2018」をご紹介します。

フランチャコルタ・ブリュット・ミレジマート・エレクト 2018 2024年が始まりました。新年早々、胸の痛むニュースが報道され、世の中の平穏を願うばかりの心境です。造り手の想いが詰まった美味しいワインが、日々の暮らしを明るくしてくれると信じて、気持ち新たにコラムをお届けしたいと思います。本年もよろしくお願いいたします。

 新年最初にご紹介する1本は、ロンバルディア州「マイオリーニ」のフランチャコルタ。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られる、イタリア最高峰のスプマンテ(スパークリングワイン)です。今回の「エレクト」がちょっと特別なのは、単一ヴィンテージのブドウを85%以上使用する「ミレジマート」である点です。

イメージ ところで、フランチャコルタという銘柄は、日本でもワイン好きの間ではよく知られていますが、その誕生は1961年、イタリア政府によってDOCG(統制保証原産地呼称)に認定されたのは1995年。歴史あるイタリアワインの中では新しく、瞬く間にスターへ躍進していった存在といえるでしょう。

 イゼオ湖ほとりの穏やかな気候に恵まれたマイオリーニのブドウ畑は、ミネラル豊かな純粋石灰岩質土壌「メドーロ」から成っています。1960年代、現オーナーの祖父にあたるヴァレンティノ・マイオリーニ氏によって創設され、ヴァレンティノ氏の没後、1981年に再開。95年には醸造設備とセラーをリニューアルし、シャンパーニュからワインメーカーを招くなど、フランチャコルタ誕生の歴史とともに歩んできました。さらに、2012年にはオーガニック認証を得るなど、環境に寄り添う生産者です。

ワイナリー フランチャコルタにはさまざまな規定があり、ヴィンテージ・タイプの場合は瓶内熟成が30カ月以上と義務付けられていますが、こちらの「エレクト」の熟成期間は36カ月以上。グラスに注ぐと、きめ細かな泡立ちで、液体は輝きのあるゴールドの色調です。独特の酵母の香りが広がり、グレープフルーツ、リンゴ、アプリコット、蜂蜜、貝殻など、華やかで豊かな表情を見せてくれます。

 口に含むと、酸がいきいきと躍るように弾け、のど越しには柑橘ピールのような爽やかで心地よい酸味と苦みを伴います。余韻には、かすかな磯の香りを感じました。

料理とワイン① 爽快さと膨らみを持ち合わせた味わいにマッチしそうな食材として連想したのは、旬を迎えた牡蠣です。片栗粉をまぶしてふっくらとした食感を閉じ込め、醤油とみりんを絡ませた磯辺焼きとのペアリングはいかがでしょう。牡蠣の濃厚な旨味に、焼き海苔で磯の香りをさらに重ねてみると、ワインの風味の中から鉱物的なミネラル感が顔を出し、仲良く調和してくれました。

 牡蠣の炊き込みご飯は、醤油と酒で煮た牡蠣を煮汁ごと炊き上げました。ひと粒一粒が出汁を吸い込んだつややかなご飯に、プリプリの牡蠣を贅沢にのせて。後味に残る牡蠣独特の風味を、ワインのキリッと爽やかな味わいが綺麗に引き締めてくれます。

料理とワイン② ちょっとおまけで、お節料理をアレンジしたデザートとのペアリングも試してみました。黒豆はイチゴと合わせてマルサラ酒を効かせ、マチェドニア風に。栗きんとんはクリームチーズとともにクラッカーにのせました。ナチュラルな甘味とキレの良さのバランスがとれた中辛口「ブリュット」は、食事からデザートまで幅広くマッチすることを教えてくれます。

 良年のみに造られる極上のフランチャコルタを、日々の和食とともに気負わず楽しむのも一興です。おなじみの料理でもいつもより丁寧に作っている自分に気づき、そんな小さな積み重ねから、彩りに満ちた暮らしを紡いでいけたらいいなと思っています。


「マイオリーニ」の「フランチャコルタ・ブリュット・ミレジマート・エレクト 2018こちら

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