「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、トスカーナ州の「カロッビオ」が手がける「レオーネ 2014」をご紹介します。
いよいよ2023年も残すところ2週間足らず。「読むワイン」は年内最後の掲載となりました。お世話になった方へのお礼や年賀状作り、大掃除、お節料理の計画などなど、TO-DOリストはびっしりですが、ソムリエナイフを手に、今年ラストの1本にワクワクしています。
年末年始にふさわしい、素晴らしいワインが届きました。イタリアワインの中心地として高級ワインを数多く世に送り出すトスカーナから、ワインファン垂涎の「スーパータスカン(トスカーナ)」のご紹介です。スーパータスカンとは、産地や品種構成などイタリアワイン法の規定をクリアしたものにのみ認定されるDOCやDOCGといった格付けにとらわれず、自由な発想で最高の味を追求したトスカーナ州のワインを指します。
「レオーネ」は単一畑から特別に選定したサンジョヴェーゼのみ使用し、年間4000本しか生産されない希少なワイン。イギリスの「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード」でプラチナメダルを獲得したほどの逸品です。
ワインの素晴らしさは、まず「カロッビオ」のブドウ畑のテロワールに由来しています。「コンカ・ドーロ(黄金の丘陵)」と呼ばれる、なだらかな丘陵地に位置し、ブドウの樹々には毎日たっぷりの日差しが降り注ぎます。土壌はスポンジのように保水力に優れ、数日雨が降らないことがあっても、しっとりと湿り気を保ってくれるそうです。現地を訪ねたときの映像は、商品ページに掲載されたYouTubeチャンネル「リアルなワイン」で観ることができます。オーナーのダリオの情熱たっぷりの解説とともに、素晴らしいロケーションを味わってみてください。
ガレストロ(泥灰土)とシルト(粘土質)の入り混じった畑から手作業で収穫し、ステンレスタンクで発酵後、フレンチバリックで20カ月、瓶内で6〜8カ月熟成させてからリリースされます。
グラスに注ぐと、落ち着いたルビーレッドの色調で、よく熟れたプラムやダークチェリー、黒コショウ、クローヴ、ヴァニラ、松や杉など、さまざまな香りが入り混じり、果実味豊かでスパイシーな印象です。
口に含むと、ドライプルーンのようにまろやかな果実味と、ブドウの酸味や渋みが長期熟成を経て生み出した力強い旨味を感じます。タンニンは突出せずにとけ込み、酸も豊か。心地よい渋みと旨味がしっかりと舌に残り、非常に長い余韻を生みます。
サンジョヴェーゼに合わせたくなるのは、赤身肉のステーキ。トスカーナの郷土料理として、厚切りのTボーンステーキ「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」が有名で、サンジョヴェーゼのワインにはお墨付きの相性です。
和牛のステーキをひと工夫したレシピを見つけ、このワインにぴったり合いそうなので、お肉屋さんへ向かいました。手に取ったのは黒毛和牛のランプ肉。まずは、塩コショウとセージパウダーをまぶし、120度から140度のオーブンで30分ほどかけて六分通り火を通し、みじん切りのマッシュルーム、バルサミコ酢、トマトピューレ、赤ワインを合わせた漬け汁に20分ほど漬け込みます。フライパンで表面を香ばしく焼き上げ、漬け汁を煮詰めたソース、グリルした菜の花とマッシュルームのソテーを添えました。
赤身が多く、とても軟らかなランプ肉は、脂の旨味ではなく肉そのものの旨味を堪能できる贅沢な味わい。そこに、キノコの滋味とバルサミコやトマトの酸味があわさって旨味を引き出し、ワインのなめらかな果実味と出汁のような旨味が、層のように重なり合います。程よいタンニンと上品な酸味が、口の中をキュッと引き締めて、次のひと口のステーキをいっそう美味しくしてくれます。
畑とセラーを案内したあと、「ワインは文化で、情熱で、リラックスして会話を楽しむためのもの。ただの飲み物ではない」と語る、オーナーのダリオ。どんなに働き疲れた一日でも、「最後に最高のワインが飲めればいい」と。
さあ皆さんも、毎日の「お疲れさま」を積み重ねた1年の最後に、最高のワインを最高の笑顔で味わってみませんか? 今年も1年間お付き合いいただき、心から感謝いたします。どうぞ良いお年をお迎えください。
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