「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、トスカーナ州の「カロッビオ」が手がける「キャンティ・クラシコ・リゼルヴァ2014」をご紹介します。
2022年1月にスタートした当コラム、今年の掲載は今回で最後となりました。1年の締めくくりにご紹介するのは、イタリアワインの代表格といっても過言ではない「キャンティ・クラシコ」。トスカーナ州の赤ワインです。
「キャンティ」と「キャンティ・クラシコ」の詳しい説明については、Vol.29 完熟ブドウのやわらかなタンニン 黄金の「キャンティ・クラシコ」をぜひご参照ください。
ところで、「レアーレカンティーナ」のECサイトには、取り扱うワイナリーの紹介ページがあり、そこに生産者を紹介する動画が掲載されているのをご存じですか? 現地を訪れたときに撮り下ろした映像から、畑の様子やワイナリーの様子が、造り手の声とともに視聴でき、一つひとつのワインが生まれた背景をリアルに感じることができます。
今回ご紹介する「カロッビオ」の動画では、オーナーのダリオが自慢の畑を案内しながら、そこで生まれる「サンジョヴェーゼ」の魅力を余すことなく語っています。
「キャンティ・クラシコ」のエリアのなかでも屈指の条件に恵まれた「コンカ・ドーロ(黄金の丘陵)」に位置し、なだらかな丘陵地に植えられたブドウの木々に、たっぷりの日差しが注ぎます。土壌は保水力に優れ、数日雨が降らないことがあっても、しっとりと湿り気を保ってくれるそうです。
そんな畑から生まれるサンジョヴェーゼは、強いタンニンが突出することなくバランスが取れています。ダリオは、「訪問してきて説明を受けた人にしかワインを売らない」と語ります。そう聞くと、なかなかのこだわり屋のようですが、“素晴らしい畑が育んだブドウを丹精込めてワインに仕上げる工程を、知ってから飲んでもらいたい”という想いのあらわれなのだろうと感じました。
「カロッビオ」の畑では、通常よりも収穫期を遅らせ、完熟させたサンジョヴェーゼを手摘みします。ステンレスタンクで発酵後、フレンチオーク樽で18カ月熟成後、さらに瓶内で6カ月熟成してからリリースします。「リゼルヴァ」というのは、イタリアワインの専門用語で、その地域に規定された熟成期間やアルコール度数を超えたワインのことを指します。
ワインの色調は落ち着いたルビーレッドで、液体の粘性が強く、グラスにしっかりと跡を残すことからも、完熟ブドウを長期熟成させたワインであることがうかがわれます。大ぶりのグラスに注いで、じわじわと香りが広がるのを待ちましょう。
ダークチェリーなど濃密な香りのフルーツ、干しイチジクのような凝縮された果実香、ブラックペッパーのスパイス感、ヴァニラ、香木、干し草やなめし皮といった心地よい熟成香が、複雑に入り混じって感じられました。
口当たりはやわらかく、タンニンはビロードのようにとけ込んでいます。チェリーのような果実味、干し草のあたたかみ、熟成の深み……さまざまな要素が重なりあった濃厚な旨みが舌に広がり、しっかりと飲みごたえがあり、余韻が長く続きます。
王道のペアリングで、牛肉のステーキを合わせました。肉質がやわらかく、きめ細やかなランプ肉は、脂のしつこさがないので食べ疲れることなく、ワインの味を楽しみながらゆっくりと食事を楽しめるように思います。
熟成の旨みが濃厚なフルボディの「キャンティ・クラシコ・リゼルヴァ」は、ビーフシチューなど重厚感のある料理にもぴったりなので、ぜひ、お肉を主役にした温かな料理で体を芯から温めてくださいね。
皆さま、美味しいワインとともに、素敵な年末年始をお迎えください。
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※こちらのワインは「読むワイン」で紹介されたヴィンテージとは異なります。風味や特徴に若干の違いがある可能性がございますのでご了承ください。