「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州「ヴィラベッラ」の「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラシコ 2017」をご紹介します。
今回お届けするワインは、ヴェネト州のヴェローナから。ロミオとジュリエットの舞台であり、ワインにおいては、国際ワイン見本市「ヴィーニタリー」が開催される、イタリアワインの中心ともいえる場所です。
そんなエリアで、世界的にもひときわ注目を集めるワインが、DOCG「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」。ブドウを陰干し(アパッシメント)してから醸造することで、比類なき芳醇な味わいを醸した辛口赤ワインの呼称で、「アマローネ」の名前でも親しまれています。
今回の造り手である「ヴィラベッラ」のワイナリーは、ガルダ湖を見下ろす銘醸地バルドリーノの丘の上に佇んでいます。広大なブドウ園とオリーブ園に囲まれた瀟洒な建物は、18世紀の貴族の邸宅を再生したもの。そんな優雅な環境から、この土地ならではの伝統を守り継いだワインが生み出されています。
アマローネはとても手間のかかるワインです。ヴィラベッラの場合は、収穫したブドウを専用の乾燥室で陰干しすること120日間。レーズンのように糖分がギュッと凝縮したブドウをじっくりと発酵させ、オーク大樽で36カ月かけて熟成後、さらに瓶内熟成を経てリリースされます。
品種構成はコルヴィーナ・ヴェロネーゼが主体で、コルヴィノーネやロンディネッラなどがブレンドされます。日当たりのよいブドウ畑で、品種独特のタンニンやスパイス感が豊かに育まれ、さらにアパッシメントによってエキス分が凝縮された、その味は……。ヴィンテージは2017年。長い年月をかけて手元に届いたワインの味を、想像するだけでワクワクしますね。
栓を抜くと、たちまち濃密な香りが漂ってきました。色調は、落ち着きのあるダークチェリーレッドで、粘性の高さがアルコール度数の高さを表しています。色調と同じダークチェリー、バラの花びらのジャムやバルサミコ酢を思わせる濃縮した甘酸っぱい香り、カンゾーやシナモンなど甘いスパイス、ヴァニラなど、さまざまな香りが次々と広がっていきます。
口に含むと、パワフルな果実味が口中を満たし、なめらかで、かつ力強いアタックです。タンニンがじわじわと舌を覆うように広がり、のど越しは辛口。ダークチョコレートのような苦みとベリー系の甘酸っぱい果実味が調和した優美な余韻が続き、いつまでも浸っていたいような幸福感に包まれます。
特別感たっぷりのワインは、バレンタインデーのご馳走にもピッタリです。いただきものの合鴨を使った一皿を作りました。
フライパンでしっかり焼き色を付けた後、オーブンでローストし、ソースは赤ワイン、マルサラ酒、フォンドボーで作ります。隠し味はオレンジ風味のシロップで、オレンジピールを手作りしたときに残ったものを活用しました。オーブンで焼き上げる前に、表面に塗って胡椒をまぶしつけ、ソースにも少々加えています。
赤身と脂身のバランスがとれた滋味豊かな合鴨に、甘酸っぱいソースがさわやかに調和。独特の甘味を抱いた肉の旨味が、アマローネのリッチな味わいに重なり合い、オレンジの風味が抜け感を生みます。さらに、ピンクペッパーが弾けて、ワインの果実味が一層引き立ち、次のひと口を誘います。
アパッシメントの手法は、もともとは保存性を高めるために考案されたそうです。時間をかけて、エキス分が詰まったアマローネは、甘い香りにうっとり魅せられ、口に運んでみると、食事と調和する辛口の味わいに驚きます。その奥深さは、大人の楽しみともいえそうですね。ぜひご堪能ください。
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