「レアーレカンティーナ」では、イタリア各州の造り手を訪ね、味わい、厳選したワインだけをラインアップしています。今回は、ヴェネト州の「デリボリ」が手がける「クストーザ2020」をご紹介します。
先日、ホームパーティーにお呼ばれしました。お料理上手なホストが、前菜盛り合わせからサラダ、パスタ、メインまで用意してくれ、飲み物は参加者が銘々持ち寄るスタイルです。さて、「お呼ばれに持参するワイン」、選ぶのは楽しいですが、いつもながら悩みます。
暑い時期だったので、「プロセッコ ブリュット」(スパークリング)と「アンナズ・シークレット」(ロゼ)を選びました。どちらも当コラムでご紹介したものです。選ぶときのポイントにしたのは、幅広いお料理に合わせやすく、季節にふさわしい香りと味わいがある、という点です。どのタイミングで出していただいてもお料理とマッチし、かといって無難に終わらず“華”があり、「このワインどこの?」と話題が広がったらいいな……との期待どおり、大好評でした!
そして、次回の「お呼ばれワイン」として目下、オンリストしているのが、今回の「クストーザ」。開けたときの香りが、とっても良いです。レモンのキャンディのような、溌溂として甘い香りがふわりと漂い、コルクに付いた香りにもうっとりしてしまうほど。味わいはフルーティーな辛口でお料理を選ばず、特に魚介類や和食との相性が抜群、カルパッチョやお刺身、お寿司など、ホームパーティーの人気メニューにもピッタリです。
「クストーザ」は、ガルダ湖の東側に位置するヴェネト州ヴェローナ県のDOC(統制原産地呼称)で、ブドウ品種には、ガルガネーガ、トレビアーノ・ディ・トスカーノ、トレビアネーロなどのブレンドが認められているエリアです。ガルガネーガは、ヴェネト州を代表する「ソアヴェ」の主体となる品種で、柑橘系のいきいきとした香りとほのかな苦味という特徴が、こちらの「クストーザ」にもあらわれています。
外観は輝きのあるイエローゴールドで、香りにはレモンやライム、グレープフルーツといった柑橘類が印象的。アタックは爽やか、溌溂とした酸と果実の甘味を感じ、柑橘ピールのような心地よい苦み、しっかり感じるミネラル感が印象を残し、旨みと飲みごたえのある白ワインです。
今回は、和食とイタリアワインのペアリングを試してみようと、お刺身用の鯛を昆布締めにしてみました。塩を振ってしばらく置いたあと、だし昆布で鯛を挟み、冷蔵庫に置くこと半日。身が締まり、昆布の旨みと潮の香りがのって上品な味わいになりました。
軽く握った酢飯にのせてみると、おもてなしの一品にもなりそうな佇まいです。鯛と昆布の風味を主役にしたいので、寿司酢は甘さをごく控えた配合にしました。このワインのミネラル感と、昆布の風味が仲良く寄り添ってくれ、鯛のお刺身をそのまま合わせるよりも風味豊かなペアリングに。お料理に油分がないぶん、ワインのクリーンでフレッシュな味わいを存分に楽しめるのが魅力で、柑橘類の香り弾けるクストーザは、まるでキュッと絞ったすだちのように、鯛のお寿司のアクセントになりました。ほんのりと塩味が効いて、醤油を付けずに味わえることも、ワインときれいにつなげるポイントです。
この味わいで、じつは2000円以内というお手頃価格も、ホームパーティーに同席した人たちを驚かせてしまうかもしれません。「お呼ばれワイン」にも、デイリーな1本にも、飲み心地のよいヴェローナの「クストーザ」をぜひ味わってみてください。
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